「凱旋門賞・仏G1」(5日、パリロンシャン)
 世界の壁は厚く、険しかった。日本馬3頭は追い込んだ4番人気
ビザンチンドリーム(牡4歳、栗東・坂口)の5着が最先着だった。今年のダービー馬で3番人気の支持を集めた
クロワデュノール(牡3歳、栗東・斉藤崇)は、途中からハナに立つなど積極的に運んだものの14着。6番人気の
アロヒアリイ(牡3歳、美浦・田中博)は16着に終わった。勝ったのはフランスの10番人気ダリズ(牡3歳)。2着はアイルランドの2番人気
ミニーホーク(牝3歳)。3着はフランスの5番人気
ソジー(牡4歳)だった。
 またしても歴史の扉は重く閉ざされ、開くことはなかった。69年のスピードシンボリの初挑戦から56年。異なる現地前哨戦を勝って勢いに乗った精鋭日本馬3頭の力を持ってしても、栄冠をつかむことはできなかった。
 レース当日こそ晴れたが、金曜から土曜にかけて降った雨が日本馬の脅威として立ちはだかった。前日にも夕立があり、直前にも降雨があって馬場は悪化。前哨戦Vの結果から、多少力のいる馬場なら対応もできただろうが、これだけコンディションが悪化するとなすすべがなかった。外枠から積極策に出た
クロワデュノールも直線で失速して14着とキャリア初の馬券圏外に。最後に追い込んだ
ビザンチンドリームの5着が最先着で、3頭とも苦杯をなめる結果になってしまった。
 これまでで日本馬延べ35頭が挑戦してきたが、99年エルコンドルパサー、10年
ナカヤマフェスタ、12、13年
オルフェーヴルと4度の2着が最高だった。以降も挑戦を重ねてきたが、13年を最後に10年以上は連対すら果たせず。100年を超える凱旋門賞の長い歩みのなかで、欧州調教馬以外の勝利はない。再びその歴史が繰り返すことになってしまった。
 3頭とも現地フランスの前哨戦を勝利した際は良化途上で、ひと叩きされたことで、間違いなくコンディションは上がっていた。
クロワデュノールの斉藤崇師は「やるべきことはやれたと思います」と自信をのぞかせていた。
ビザンチンドリームの坂口師も「ちょっと気合は乗っていますが、レースに向けてはいい」、
アロヒアリイの田中博師も「前走よりも明らかにいい状態」と口をそろえていた。ただ、それでも世界の壁は厚く、高く、そして険しかった。
 敗れはしたものの、
クロワデュノールと
アロヒアリイはまだ3歳で、
ビザンチンドリームも4歳と成長の余地は十分。まだ再挑戦の機会は残されているはずだ。きっちりと敗因を分析し、さらに力をつけて再びパリロンシャンの地へ-。この経験を自らの血肉に変え、次のチャレンジでは必ずその頂に日の丸を掲げてみせる。
 ◆坂口師「結果は5着でしたが、馬もジョッキーも全力を尽くして頑張ってくれた。結果は残念でしたが、悔いはないです。作戦はジョッキーにお任せでした。スタートを出てジョッキーが決めるということでした。手応え良く回ってくれましたし、伸びてくれるかなと思ったのですが、少しいつもの伸びが見られなかったですね」
 ◆マーフィー「うまく乗れました。内を突くのはもともとのプランでした。馬場は緩かった。この馬の切れ味は落ちましたね」