20年の秋華賞を制したデアリングタクト(20年10月撮影、ユーザー提供:katsuhitoさん)
史上初めて無敗で牝馬三冠を達成した
デアリングタクト。今回は偉業達成となった20年の秋華賞を振り返りたい。
デアリングタクトは父
エピファネイア、母デアリングバード、母の父キングカメハメハの血統。母は未勝利ながら、祖母の
デアリングハートは重賞3勝馬という良血だった。2歳秋のデビューから新馬、エルフィンSと連勝。クラシックの有力候補に浮上する。そして桜花賞では後方から道悪を苦にすることなく伸び、1番人気の
レシステンシアを差し切ってGIウイナーの仲間入り。さらにオークスでは1番人気に応えて牝馬2冠を達成した。
そして夏休みを取り、ぶっつけで迎えた大一番が秋華賞だった。単勝1.4倍の1番人気に推された一戦。少し出遅れたこともあって、中団後ろ寄りの位置取りに。それでもデビューからコンビを組み続ける松山弘平騎手は冷静だった。勝負所で外から押し上げる強気の競馬を選択。これに
デアリングタクトも応えた。長く脚を使って残り200m過ぎに先頭に立つと、内から追い上げた
マジックキャッスルに1馬身1/4差をつけてゴール。史上6頭目となる牝馬三冠を、史上初めて無敗で達成したのだった。
その後は8戦して未勝利に終わった
デアリングタクトだが、GIで3回も3着になるなど、三冠牝馬に相応しい走りを見せ続けた。23年秋に引退し、今春には初仔となる父
ベンバトルの牡馬が誕生。早ければ2年後の夏、子どもが競馬場に姿を見せる日を心待ちにしたい。