「天皇賞(秋)・G1」(11月2日、東京)
秋の古馬3冠ロード第1弾。経験値で勝る歴戦の古馬に、イキのいい3歳馬が挑戦状を叩き付ける。古馬の大将格は宝塚記念を圧巻の逃走劇で制した
メイショウタバル。4歳春の海外遠征を機に大きく成長した“元やんちゃ
ボーイ”が堂々と迎え撃つ。対する3歳勢では皐月賞馬
ミュージアムマイルが筆頭。始動戦Vの勢いに乗って古馬の牙城を崩しにかかる。
きっかけをつかんだ個性派逃げ馬が歴史を塗り替える。宝塚記念を逃げ切ってG1初制覇を決めた
メイショウタバルが、次に狙うのは秋盾でのG1連勝。距離が二千に変更された1984年以降、逃げ切りは87年ニッポーテイオーだけ(91年プレクラスニーは繰り上がり1着)。逃げ馬にとっては鬼門のレースだが、今の充実ぶりなら38年ぶりの快挙を成し遂げても不思議ではない。
その裏付けが精神的な成長だ。かつては気性の難しさからレース内容にもムラがあったが、今春のドバイ遠征で大きく成長。帰国初戦の宝塚記念では絶妙なラップを刻んで後続を完封した。上籠助手は「海外でそこ(精神面)が変化したのは間違いない」と強調。「今回も周囲から、そんな馬だったっけ?って言われるぐらいどっしりしている。運動でも一歩一歩がしっかり地に足が着いている感じ」と充実ぶりに手応えをにじませる。
中間は17日に栗東CWで6F76秒2-35秒7-11秒9、1週前の23日には同78秒3-35秒6-11秒4と2週続けて猛時計をマーク。同助手は「馬場の真ん中を通っているから時計は出る」と前置きしつつも、「息遣いはいいし、動きも
パワーアップした感じ。体に幅が出て精神的にも大人になっている。まだ成長しそうな感じもするけどね」と頼もしそうにした。
今回は4カ月半ぶりの直行だが「神戸新聞杯も宝塚記念も休み明け。一戦一戦しっかり走るから、休み明けが一番だと思う。あとはジョッキーに任すだけ」と力を込める。鞍上の武豊は89年スーパークリークをはじめ、17年
キタサンブラック、24年
ドウデュースなど驚異の秋盾V7。“盾男”に導かれる
ゴールドシップ産駒が、春の
グランプリで見せた完璧な逃走劇を秋の府中で再現。若き挑戦者たちを返り討ちにする。