検索メニュー

  • クラブ馬分析
  • 募集馬検索
  • 血統検索
  • 条件別検索

詳細検索

  • 性別
  • 馬齢
  • 生産者 指定なし
  • 馬主名 指定なし

矢作調教師インタビュー1 フォーエバーヤングのBCクラシックを徹底回顧 「調教師冥利に尽きる」こととは

2025年11月25日 22:00

フォーエバーヤングでブリーダーズカップクラシックを制した矢作芳人調教師(左)と坂井瑠星騎手

 「世界のYAHAGI」こと矢作芳人調教師=栗東=が今週のジャパンC・G1(11月30日、東京競馬場・芝2400メートル)にシンエンペラー(牡4歳、父シユーニ)を送り出す。この決戦を前に、日本競馬に新たな一ページを刻んだフォーエバーヤング(牡4歳、父リアルスティール)のBCクラシックを徹底回顧。11月1日に米国デルマー競馬場で行われたレース前後の心境や、シンエンペラーのオーナーでもある藤田晋氏への思いを明かした。(取材・構成 山本 武志)

 全く色あせない感動は今も胸の中で輝いている。フォーエバーヤングは早々と直線手前で動くと、内にいたフィアースネスをねじ伏せ、外から詰め寄るシエラレオーネの末脚にもひるまない。堂々と先頭でゴール板を駆け抜けた。

 「直線は長かった。300メートルしかないのになぁ。シエラレオーネも見えていた。(鞍上の坂井)瑠星もサウジCの時に言ってたけど、『ロマンチックウォリアーを負かして勝てれば最高だな』というのが、その通りになって、今回も『あの2頭、特に(2戦2敗だった)シエラレオーネを負かして勝てれば最高だな』というのが、その通りになった。本当に言うことなかったですね」

 3歳春から何度も海を渡り、世界の強豪と渡り合ってきた。様々な経験が見つめ続けてきた大舞台で最高の状態を生んだ。

 「絶好調というか、本当に状態のよかった日本から、また想像以上に上がった。なかなか、海外に行って、あんなに上がらないよ。3歳春にサウジ、ドバイから日本に帰らずにケンタッキーダービー(注1)へ行った時はキツかった。あの大変さを経験しているから、当時に比べるとずいぶん楽ではあるけどね」

 枠順は厳しい競馬を強いられた昨年の最内枠から一転、レースを運びやすい5番枠に入った。

 「枠順が瑠星は一番緊張したと言っていたね。まだ1番枠が残っていたんで。1だけは引くな、と(笑)。ペースメーカーが4番枠を引いて、5と6が余っていたので、5か6なら最高という感じでした」

 着々と埋まっていく大仕事へのピース。その中で思わぬ感情も生まれていた。

 「シンエンペラーが愛チャンピオンSに向かう過程も、ものすごくよかった。それがレースであんな感じ。そういう不測のアクシデント的なこと(注2)が怖かった。今回はあまりに順調にいきすぎたので、頼むから順調にという感じ。それだけがプレッシャーでした」

 そして、レース当日。パドックで師弟の間に多くの会話はいらなかった。

 「瑠星が向こうから『自信を持って、乗ってきます』と言って、『おう、馬を信じて乗ってこい』と。それだけでした。とにかく追い切りを100点満点と言ったんだよね。アイツが100点満点なんて言うことない。だから、本当にいいんだろうなと思っていました」

 ゲートは開いた。序盤でスッと好位につけると、4角手前で手綱を押した。早々と先頭に立った。

 「(瑠星は)俺より信じてたよね。俺は早いなとドキドキだったけど、悪くない運びだなとは思っていました。(早め先頭で)『もう少し頑張れよ、ペースメーカー』と思っていたけど、3〜4コーナーのスピードの乗りは追い切り通り。これで差されれば仕方ない、という感じでしたね」

 ゴールの瞬間。真っ先に強く抱き合ったのが藤田晋オーナーだ。様々な分野で経験豊富なオーナーが興奮を抑え切れない。満面の笑みで、歓喜の輪の中に身を委ねた。

 「普通に考えて、藤田さんがああいう顔をすることはあり得ない。その顔を見れただけで幸せだったし、調教師冥利に尽きるよね。あと、こういう顔にさせる競馬ってすごいんだなと、改めてね。以前から(海外遠征で)負けて帰る時の落ち込みがすごいと言っていたから、本当によかったと思います」

 大きな仕事を成し遂げたが、来年も現役は続く。当面のターゲットは連覇を目指すサウジC(2月14日、キングアブドゥルアジーズ競馬場・ダート1800メートル)から今年3着だったドバイ・ワールドC(3月28日、メイダン競馬場・ダート2000メートル)だ。

 「オーナーの気持ちがある以上、目標はいくらでもできるけど、今は春2戦しか考えていない。この2戦をダブルで勝った馬はいないので、サウジC2連覇でドバイワールドC制覇。この2つに照準を絞っていきたい」

 砂の世界一決定戦を制し、獲得賞金は日本馬の歴代最多を塗り替えた。しかし、歩みは止まらない。これからは、その走りが新たな歴史になる。

 注1 3歳春に海外初遠征だったサウジダービー、UAEダービーを連勝した後、中東から米国へ直接飛んだ。米国では40時間を超える検疫期間があり、その後に約7時間の陸送でチャーチルダウンズ競馬場に入った。

 注2 愛チャンピオンS6着後の検査でぜん息と中程度の肺出血が判明。出走予定だった凱旋門賞を回避した。

新着ニュース

ニュースを探す

ご意見・ご要望

本サービスはより高機能なサービスの提供なども検討しております。お気づきの点がございましたらお気軽に下記フォームよりご意見をお願いいたします。

  • ご意見をご記入ください。

頂いたご意見には必ずスタッフが目を通します。個々のご意見に回答できかねますことを予めご了承ください。
また、連続して複数送信されると、受付できないことがあります。予めご了承ください。