今年引退を発表した世界的名手のL.デットーリ騎手は、日本で4つのGIを制している。そのうち唯一のダート戦が02年のジャパンCダート。単勝20.8倍の伏兵のイーグルカフェで波乱を呼んだ一戦を振り返る。
この年のジャパンCダートは3歳の2強ムードだった。1番人気は2.2倍でJBCクラシックを7馬身差で圧勝したアドマイヤドン。2番人気は2.6倍でダービー
グランプリを10馬身差で制したゴールドアリュール。3番人気のトーホウエンペラーは9.7倍だったので、古馬は脇役といった雰囲気だった。
レースは
アルアランが果敢に逃げた。ゴールドアリュールが好位、それを見る位置にアドマイヤドンがつけた。前半1000mは61秒3の平均ペース。そんな中、いつもよりも積極的な立ち回りを見せたのがイーグルカフェとデットーリ騎手だった。序盤は中団だったが、向正面で内からスルスルと押し上げて先団へ。迎えた直線、早め先頭のゴールドアリュールにアドマイヤドンが並びかける。一騎打ちか。そう思われた瞬間、内から強襲だ。デットーリ騎手の右ムチに応えて脚を伸ばすと、2強を置き去りに。最後は外から追い込んだリージェントブラフに1馬身差をつけてゴールを駆け抜けたのだった。
イーグルカフェは2年前のNHKマイルCの勝ち馬だった。その後は大舞台では善戦止まりだったが、ここで約2年半ぶりのGI・2勝目、そして史上3頭目となるJRAの芝ダートGIダブル制覇を果たした。また、デットーリ騎手は翌日の
ジャパンCをファルブラヴで制し、2日連続のGI勝利。日本のファンにこれ以上ないインパクトを残してみせた。