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【追憶の有馬記念】15年ゴールドアクター いい障害馬をつくるはずが…日高の馬が驚きの日本一

2025年12月23日 08:19

15年有馬記念を制し、ゴールドアクターの吉田隼人騎手は左手を突き上げてアピール

 「日高の馬で有馬記念を勝つ」。どこかで聞いたフレーズだが、それを10年前にやってのけた偉大な馬を紹介したい。ゴールドアクターである。

 アルゼンチン共和国杯を含む3連勝で15年グランプリに駒を進めたが、8番人気の伏兵に過ぎなかった。

 父はスクリーンヒーロー。初年度からこのゴールドアクターモーリスが出て、世間をあっと言わせたが、種牡馬入り当初の期待度はそこまで高くはなかった。

 そもそも、ゴールドアクターは“いい障害馬をつくろう”との狙いで生産された馬だった。

 当時90歳の居城(いしろ)要オーナーに代わって中山に来場していた長男の寿与(ひさよ)氏が解説した。「母ヘイロンシンは障害で実績(豊国ジャンプSなど2勝)を挙げた。だから、いい障害馬をつくろうと思い、スタミナのありそうなスクリーンヒーローをつけたんです」

 そんな意図など、どこ吹く風。馬主歴50年のオーナーに初重賞をプレゼントした孝行馬は、その勢いでグランプリのゲートに収まった。

 道中は3番手を追走。勝負どころで外から1番人気のゴールドシップが上昇したが、鞍上・吉田隼人は冷静に脚をため続けた。直線を向く。前を行くのはキタサンブラックマリアライト。坂で追いつくゴールドアクター。残り100メートルで先頭だ。外から迫るサウンズオブアース。だが、ゴールドアクターが首差、踏ん張った。

 デビュー12年目でのG1初制覇。吉田隼は「ここを勝たなければ、もうチャンスはないと思っていた」

 有馬記念の1カ月前、11月29日の東京。馬場入場時に他馬に蹴られ、右膝蓋(しつがい)骨を亀裂骨折した。全治6週間の診断。だが、アルゼンチン共和国杯を制し、有馬記念へと向かう相棒の鞍上の座を失うわけにはいかなかった。超音波治療、酸素カプセル。手を尽くし、何とか大一番の騎乗に間に合わせた。

 居城寿与氏は、高齢のため自宅観戦となった、オーナーである父に呼びかけた。「生きているうちに(G1を)勝てて良かった。オヤジおめでとう、という気持ちです」。障害を飛ばせたくてつくった馬がディープインパクト、キングカメハメハ産駒を蹴散らしてグランプリを勝つ。まさにドラマを見ているような、痛快な有馬記念だった。

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