枠順の知らせを聞いた瞬間、宮本師は興奮を隠せなかった。{horse=2007102955:アグネスワルツ}は1枠2番。「一番ほしかった枠。内枠で後入れ。スタンド前(のスタート)だから、できるだけゆっくりゲートに入れたかったし、2400mをロスなく回れる」。先行力とスピードを存分に発揮するには文句なし。大舞台を前に追い風が吹いた。
重賞初挑戦のフローラSで能力の高さを見せつけた。マークされる形になりながらも逃げ粘って2着。勝つことはできなかったが、骨折明け、初の東京遠征、距離と陣営が気にした3点の課題を見事クリアした。「(柴田)ヨシトミさんも“そろっと乗ったけど、本番が楽しみですね。距離も持ちますよ”とニコニコして言ってくれたから」と指揮官の期待も膨らむ。
ダートのデビュー戦こそ8着に終わったが、2走目の芝マイル戦でレコードの逃げ切り勝ち。続く白菊賞でも後続を寄せつけずに押し切った。「1回使ってからグンと良くなった。脚をまっすぐに使って走るようになった」とトレーナー。秘めていた能力が一気に目覚めた。
その後は右第1指骨のはく離骨折が判明。骨片を除去する手術を行った。しかし、陣営は慌てずに状態が回復するのを待ち、前走の結果につながった。
テンよし、中よし、しまいよし。まさに馬名のワルツのように、3拍子そろったタイプ。「強い馬を引き合いに出すけど、ダイワスカーレットのような馬になってくれれば」。GI4勝を挙げ、一時代を築いた名牝にイメージを重ねた。宮本師にとって5回目の挑戦となるGI。初の頂点を目指し、愛馬が勝利の舞を踊る。
提供:デイリースポーツ