主役として、府中に駒を進める。1強から混戦へと急転した桜花賞。ディープインパクトの初年度産駒
マルセリーナは、父譲りの末脚を発揮してみせた。しかも、ただ勝ったのではない。オークスでの2冠達成への大きな可能性を感じさせる内容で
ニューヒロインの座をつかんだ。
「前走はアカンと思った。前があいてくれたので運があった」と松田博師は振り返る。スタートで挟まれて、後方からの競馬を強いられた。直線では前の馬が壁になって進路を阻む。それでも、わずかにあいたスペースを見つけると、瞬く間に抜け出し先頭でゴールを駆け抜けた。「一番苦しい競馬をしていた」と改めて能力を評価する。
中間の調整からも視界は良好だ。11日には栗東CWを馬なりで、6F89.2-42.7-13.3秒のタイムをマーク。「もう少ししまいを伸ばしてほしかったが、動きは良かった。毛ヅヤは良くなってきているし、肩にも筋肉がついてきている」と確かな成長を口にした。
牝馬には負けなしのGI馬とはいえ、課題をクリアしなければ栄冠はない。過去4戦は全て関西圏でのマイル戦。初めての東上、未知の距離が待ち受けている。「3歳牝馬では適性よりも能力が出やすい」と語る師は樫3勝(88年
コスモドリーム、93年
ベガ、09年
ブエナビスタ)の実績。冷静な表情に自信がのぞく。
先週激闘を繰り広げた
ブエナビスタ、
アパパネに続く3年連続、史上13頭目の桜花賞&オークス制覇へ。今年、歴史に名を刻める資格を持つのは1頭しかいない。浮上した英GI・コロネーションS(6月17日・
アスコット)への遠征プランを見送り、国内戦に集中。牝馬2冠達成で偉大な先輩に近づく。
提供:デイリースポーツ