栗東CWの3頭併せで最終調整を施したアヴェンチュラ(左)
最後の1冠は誰にも譲れない。右前第3手根骨の骨折で春のクラシックを棒に振ったアヴェンチュラが、古馬相手に重賞初制覇した勢いそのままに、今度はGI初制覇を決める。
最終リハは、霧の残る朝6時に栗東CWでの3頭併せ。僚馬のレッドグルーヴァー(2歳新馬)とロケットダイヴ(4歳500万下)を最後方から追走する形でゆったりスタートした。終始馬なりで前との差を詰めていくと、直線で進路を最内へ移す。自ら首を使って瞬時に並びかけると、きっちり並入(レッドグルーヴァーには半馬身先着)。最後まで鞍上は気合をつけることなく、楽々5F66秒7-38秒5-12秒5を計時した。
見届けた角居師も「1週前にジョッキーに乗ってもらったので、その時点で馬はできている。日曜もやったし、きょうは調整だけ。オーバーワークにならないようにした」と、調整過程に合格点だ。昨年の阪神JF4着後、骨折で7カ月の休養期間があったが「すごいファイティングスピリットの持ち主。精神面を考えるといい時間だった。疲れがたまりやすかったが、背中周りの筋肉が成長してそれも解消され、精神的にイライラするところがなくなりました」とプラスに作用した。
昨年も札幌2歳Sで牡馬相手に2着するなど、早くから能力の高さを見せていた。師は「調教師の僕が欲張って馬を壊してしまった」と苦笑いしたが、それだけに「最後の1冠に間に合ったので頑張りたい」と、このレースにかける思いは強い。新コンビの岩田も1週前に乗って好感触をつかむ。“世界の角居”が送り込む未完の大器が、一気に世代の頂点を狙う。
提供:デイリースポーツ