オーシャンSに出走するカレンチャンが一番時計をマーク(撮影:井内利彰)
先週末に雨が降ったとはいえ、週明けは天気もよく、28日の坂路では普通キャンターで軽快な動きを見せる馬も多く、そろそろ馬場も回復してきたかなと思う感じ。
ところが28日夜は雪まじりの雨がかなりの量降ったため、ウッドチップ馬場は回復どころか、2週前の最悪に重たい状態になってしまった。
【坂路/4F51.9秒】
29日。冒頭にも記したように、馬場が重くて仕方ない状態。追われているけど、前に進んでいないといった馬が多く、見ていると、とても馬券的な食指が動くような動きをする馬はほとんどいなかった。
しかし昨年スプリンターズSの覇者カレンチャン(栗東・安田隆行厩舎)だけは違った。同厩マラネロを追走して、ラスト2F地点で並びかけると、手綱をしごき、ステッキが入る相手をあっさりと抜き去ってぐんぐん加速。もちろん先着した内容に価値はあるが、それ以上に4F53.4秒の一番時計はさすがといったところ。ラスト1Fも目一杯ではないところで13.0秒をマークしているのだから文句のつけようがない。
先々週に馬場差+3.5秒と当コラムを始めて最も重い馬場差をつけたが、今週は当時よりウッドチップが荒れて悪い状況。よって『+3.8秒』で観測した。
3月1日は天気が回復し、馬場も少し乾いたため『+3.5秒』で観測している。
【CW/5F66.0秒】
29日。先週までの時計の掛かる状況に加えて、冒頭に記した雨の影響もあり、Cコースで追い切られる馬が激減。弥生賞のトリップ(栗東・松田博資厩舎)、チューリップ賞のジョワドヴィーヴル(栗東・松田博資厩舎)など、いつも通りのCW追いを敢行する馬もいたが、基本的には追い切り頭数が少ない。
そんな中、動きが目立ったのはレッドプレイヤー(栗東・藤原英昭厩舎)。同厩ノブビスケットを追走して内から交わすと、あとは引き離す一方。6F88.1秒は決して速くないが、1F12.5秒の伸びは馬場を考えると未勝利クラスの数字ではない。
こちらも坂路同様に、ウッドチップが荒れて悪い状況。そのため馬場差は当コラム開始から最も時計が掛かる『+3.8秒』で観測した。
なお3月1日は天気が回復したことによって、馬場がかなり乾いたため『+2.5秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
29日。坂路やCWの状況が悪いことから、DPで追い切る馬が続出。Dコースにポリトラック馬場が設置されてから最も多い追い切り数となった。
時計が出ることは間違いないが、騎乗者に聞くと「雨の影響か、少し粘り気がある」とのこと。そのためか、ラスト1Fで脚色が鈍る馬も少なくなかった。
3月1日に追い切られたのがアドマイヤバラード。レースで騎乗が予定されている川須栄彦騎手が跨って単走で追い切られたが、前半をゆっくり入ってラストを伸ばす形。最後の1Fは11.0秒と未勝利とは思えない鋭い伸びを見せたが、馬の表情を見ているとまだまだ本気モードではない感じ。復帰予定の3月18日の未勝利戦(中京芝2200m)で勝利を挙げることができれば、ダービーの舞台も遠くないと感じてしまう動きだった。
29日、1日とも馬場差は先週と同じ『-0.3秒』で観測している。(取材:井内利彰)
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。