阪神JFの1週前追い切りで抜群の動きを見せたサウンドアリーナ(撮影:井内利彰)
今週は26日に雨が降り続き、27日も馬場が乾くような天気にはならなかった。先週の雨の影響も残っているのだろう、坂路馬場は27日に歩いてみたが、重いだろうなとイメージできるほどの水分量。当然、28日はウッドチップ馬場が全体的に時計の掛かる状態になってしまった。
ちなみに29日は28日の午後から晴れ間も見えたことで、少しは回復。とはいっても、通常にはまだまだいった感じだけに、また雨が降れば、極端に時計の掛かる馬場ということになりそうだ。
【CW/5F66.5秒】
時計が掛かるとはいっても、先週の馬場差が-0.5秒。通常よりは少し時計の速い馬場だったが、28日はさすがに今週は通常よりも時計の掛かる重たい馬場になった。ただ29日は前日からの天候回復も影響して、馬場状態が通常時に戻ってきた。
その29日に阪神JFの1週前追い切りを行ったのがサウンドアリーナ(栗東・佐藤正雄厩舎)。植野貴也騎手を背に単走で追い切られたが、実に軽快なスピードで道中を飛ばして、馬場の重さを感じさせない動き。直線も全身を使うフットワークでしっかりした脚力を見せてフィニッシュ。6F81.3〜5F66.5〜4F52.2〜3F39.0〜1F12.5秒は馬場を考慮して、2歳牝馬ということを考えれば、破格の数字。坂路での脚力が目立つ一頭だと思っていたが、今朝のようにトラック馬場でもこれだけの動きができれば、今後の距離延長や広い馬場にも十分に対応してくれそうだ。
なお今週の馬場差は28日は『+0.5秒』、29日は馬場が乾いたこともあるので『0.0秒』で観測している。
【坂路/4F51.9秒】
単純に、28日の坂路馬場でラスト1F13秒を切った馬が10頭にも満たないというデータから、かなり時計の掛かる馬場であることは明白。実際に追い切りの動きを見ていても、ウッドチップにスピードを吸い取られているような動きで、前へ進んでいない馬が多数。
もちろん全体時計もかなり遅くなっており、一番時計はロードカナロア(栗東・安田隆行厩舎)の4F52.7秒。同じく52秒台だったカレンチャン(栗東・安田隆行厩舎)の2頭が53秒を切っているのだが、この2頭は検疫厩舎で他馬よりも早い時間に追い切られており、実質、7時の開門から一番時計になっているのは、セイカプリコーン(栗東・服部利之厩舎)の4F53.4秒だった。
そんな重い馬場でも前走時の最終追い切り時とほぼ同じ時計で駆け上がってきたのがクッカーニャ(栗東・西園正都厩舎)。4F53.5秒は一番時計から0.1秒差、ラスト1Fも13.3秒と我慢しており、中2週でも意欲的に調整されているからこその動きだろう。出走予定のターコイズSでも怯むことなく、自分の力を発揮できそうだ。
先週の馬場差は「+1.6秒」だったが、今週は更に時計の掛かる馬場。よって28日は『+2.6秒』、29日は少し馬場が乾いたので『+2.0秒』で観測した。
【DP/5F64.5秒】
普通キャンターや追い切りを行った方に聞いてみると「少し粘り気がきつい」というポリトラック。水はけが良いはずの馬場だが、最近の雨が多い天候には少し対応できていないようだ。
ただ時計が出るという状況には変わりない。JCD組ではトランセンド(栗東・安田隆行厩舎)やナムラタイタン(栗東・大橋勇樹厩舎)などがきっちりと速い時計を出している。追い切り頭数が多いだけに、数字の見方が難しいところだが、やはり馬なりで4F49秒以下というのがひとつの目安になるだろう。
今週の馬場差は先週とほぼ変わりなく、28日、29日ともに『-0.5秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)