2006年にハーツクライでドバイシーマCを制した橋口調教師、ジェンティルへエール(撮影:井内利彰)
3月30日にドバイ・メイダン競馬場で開催されるドバイワールドCデー。トレイルブレイザーがジェンティルドンナと同じドバイシーマCへの参戦を表明し、日本馬の活躍が益々期待されます。そこで、過去にドバイ遠征に挑んだ陣営を3週にわたって直撃。今週は、2006年にハーツクライで同レースを制した橋口弘次郎調教師に、当時の秘話とジェンティルへのエールをいただきます。(取材・写真:井内利彰)
―橋口弘次郎調教師にとって、2006年のドバイ遠征(ハーツクライ、ユートピア)は初めての海外遠征だったと思いますが?
2003年にユートピアをUAEダービーに出走させるつもりで、美浦の検疫厩舎に入れるところまで準備していました。ところが、当時はイラク戦争があって、遠征を断念したという経緯があります。ですから、実際に海外遠征したのは、その時が初めてですね。
―初めての遠征は不安になりませんでしたか?
うちの馬は2頭いましたし、他の厩舎も合わせると9頭。厩舎の一棟に日本馬が入るような形だったので、海外に来たって感じがしませんでした。国内で出張に来たみたいな感じでした(笑)。
ただ、ハーツクライは気の荒い馬で、輸送する際に大丈夫かな、という心配はありましたよ。でもホースストール(空輸用コンテナ)に乗せる時は堂々としたもので、この時に度胸があるんだなあと感心させられました。ホースストールの中でもユートピアと一緒、むこうでも馬房が隣同士だったので、うちの2頭にとってはすごく良い環境だったと思います。
―ハーツクライは、その後、イギリス遠征(キングジョージVI&クイーンエリザベスS)に行くことになりますが、その時は馬体が減ったというのを覚えています。
そう、あの時は一頭だったんですよね。やっぱり輸送中、一頭というのは寂しかったんでしょう。現地に到着すれば、また度胸のあるところを見せてくれたんですが、輸送に帯同馬が必要だということを痛感しましたよ。
やっぱり、海外遠征には環境の変化に戸惑わない度胸、これがなにより重要でしょう。体調が整わなければ、いくら強い馬でも実力を発揮することはできませんから。
―ジェンティルドンナはハーツクライが制したドバイシーマクラシックに出走を予定しています。先生からエールを送っていただけますか?
海外遠征は日の丸を背負っていくので、とにかく無事に走らせることが頭にあると思います。初めての海外遠征になりますが、精神的にはかえって、牝馬の方が強い場合がありますから、その点は気にしなくていいんじゃないでしょうか。
ジェンティルドンナは無事に走ることさえできれば、自ずと結果もついてくる、誰もが認める実力を持った馬ですから、ぜひとも頑張ってほしいですね。