あふれ出す闘志は、レースが近づいていることを察知したサインか。決戦前日の早朝。栗東CWから坂路へと向かうその過程で、ロードカナロアはかけていた鍵を自ら外した。闘う、という姿勢を伝えながらの登坂。4F66秒0-46秒8-13秒1というラップを刻み、最終調整を打ち上げた。
「馬場に入る段階から気持ちが乗っていましたね。ですが、しっかりと我慢が利いていました。闘争心を感じましたし、集中力も高まってきています」。安田翔助手はこの日もカナロアと冷静に向き合った。スイッチは入っているが、それは制御できる範囲内。偉業達成への準備は整った。
6枠(11)番。枠順決定を経て、さらに深い部分へ仕上げを施した。「壁もできそうな枠を得たので、ある程度気持ちを乗せてもいい、と思っていたんです」。細心の注意を払いながら、闘争本能を引き上げた。史上初となるスプリントGIV3へ。進むべき道のシグナルは青に変わった。
ロードカナロアとは1勝1敗のドリームバレンチノは“静”に徹した。これまでのレース前日同様、角馬場で体をほぐし、コースには入らなかった。馬房前で「文句なしの仕上がりです」と声を弾ませるのは、持ち乗りの牧野助手。「強い相手がいますが、互角にやれると思う」と胸を張る。開業20年目にして、GI初制覇がかかる加用師も「このチャンスを生かしたい」と主役逆転を狙う。
提供:デイリースポーツ