エーシントップが栗東坂路で躍動した。ラスト2F過ぎで気合をつけられると、頂上へ向かってグイグイ加速。2発のステッキ2発に応え、急こう配をものともせず11秒8-12秒1という驚異的なラップを叩き出した。
4F51秒4-37秒5-12秒1のタイムに「言葉が見つからないくらい、素晴らしい動きでした」と田中助手は思わず舌を巻く。ゴール前のステッキについても「気を抜かないように入れただけ。上がりの反応は抜群でした」と声を弾ませた。
デビュー当初は押さえの利かないワンペースの先行馬で、2戦目の中京2歳Sもスピードの違いで勝つには勝ったが小差の競馬。暮れの朝日杯FSではそのスピードを制御できず、折り合いを欠いて8着に敗れている。
3月2日に77歳で他界した“エイシン”の冠名で知られる平井豊光会長が、軍団の頂点に立つようにトップと名付けた期待の一頭を、凡庸な馬で終わらせるわけにはいかない。メンコを着けたり、日々の調教に工夫を重ねた陣営の奮闘に応えるかのように、馬自身も着実に成長を遂げた。「ここにきて精神的に大人になって、気持ちをコントロールできるようになりました」と田中助手は胸を張る。
前走のニュージーランドTでの好位抜け出しの快勝劇は、まさに成長の証し。「唯一、朝日杯で負けた(中山)コースで勝てたことがうれしいです。今度は、紛れのない東京。アクシデントさえなければ」と西園師は自信満々の表情を見せる。
「平井会長の期待に、GI勝ちという形で応えて天国へ報告したいですね」と静かにうなずく。「前走の(馬体重の)マイナス10キロは代謝が良くなって絞れてきたもの」と言うように、ひと皮むけて心身ともに完成された。3歳マイル界の“トップ”を、堂々と1着でゴールしてみせる。
提供:デイリースポーツ