速い時計を計時し、本来の調子を取り戻してきたラブリーデイ(撮影:井内利彰)
今週の栗東は晴れる時間帯が少なく、曇り空が多い上、突然の降雨も多い空模様。28日夜から降った雨は、29日まで続き、降水量としてはかなりのもの。30日の時点で、坂路のウッドチップ馬場はかなり水分を含んでいた。ただ、逍遥馬道を歩いてみると、適度にクッションが利いており、ぬかるむというような状態でなかったことは確か。
31日は雨が降らず、8月1日は調教開始時刻から1時間ほど経ったところで雨。その勢いは時折、激しいものだったが、追い切られている馬が少ないこともあり、ほとんどその影響を受けていない。
【坂路/4F51.9秒】
31日。一番時計は、小倉記念連覇を目指すエクスペディション(栗東・石坂正厩舎)。単走にも関わらず、4F50.6秒。自己ベストを0.6秒更新するもので、夏場に強い本馬らしい、調子の良さが出た追い切りとなった。他にも4F51秒を切った馬は2頭いたが、その時計はいずれも自己ベストを更新。時計が出やすい馬場状態であることは間違いないが、非常に蒸し暑く、疲れが出てもおかしくないこの時期にこれだけのスピードが出せることは大きく評価したい。
ラスト1F11秒台も珍しくないが、2F続けて11秒台は稀。11.8〜11.9秒というラップで、2F続けて11秒台をマークしたのが、タムロスカイ(栗東・西園正都厩舎)。北村友一騎手が跨っての単走追いだったが、前にいた他厩舎の併せ馬を追い抜く形でフィニッシュ。昨年の小倉記念(11着)時の1週前追い切り、最終追い切りでも似たようなラップを踏んでいただけに、過信はできないものの、馬自身の調子が良いからこそ、これだけ速いラップを踏むことができたのであろう。
今週は、冒頭にも記したように、51秒台を切っている馬がいるので、先週よりは走りやすい状態と判断。よって、31日、1日とも『±0.0秒』で観測した。
【CW/5F66.5秒】
ウッドチップの馬場状態は「稍重」となっているが、決して良馬場と大差ない時計の出方。ただ、暑さなどを考慮して、オーバーワークを避けるため、長めから時計を出すような馬が少ない現状。そのため、6Fや5Fだと速い時計が目立たないが、3Fは未勝利でも38秒を切る馬が出ている。
当欄で紹介したいのは、先週に引き続き、ラブリーデイ(栗東・池江泰寿厩舎)。1週前追い切りでの動きの良さについては、先週記した通りだが、それに増して、今週の追い切りの動きは抜群。2歳馬を追走する併せ馬だっただけに、相手が格下というのは否定できない。ただ、直線に向いて並びかけた時の反応が素晴らしく、抜け出してソラを使おうとしたところを川田将雅騎手が叱咤しながら、強めに追うといった程度。
時計は6F81.6〜5F66.5秒と長めからの数字が速く、ラスト1F12.1秒。併せた相手を突き放したのは当然だが、それよりも、追われてからの反応が良かった。凡走時には見られなかった動きだけに、この時期になって、ようやく本来の動きを取り戻したという印象がある。
冒頭にも記したように、決して時計が出にくい馬場状態ではなかった今週。ただ、全体的に速い時計が出ているわけではないという事実もあるので、そのあたりも考慮して今週の馬場差は、31日、1日とも、『-0.3秒』の馬場差で観測している。
【DP/5F64.5秒】
最近の雨の影響で、ポリトラック馬場は適度な水分を含んだような状態。それだけに、ラスト1Fは馬なりでも軽く11秒台が出る、軽快な馬場。Cコース同様、オーバーワークを避けて、長めから速い時計を出す馬は少ないが、ゲシュタルト(栗東・長浜博之厩舎)のように、1F11.2秒といった極端に速い時計は出る。
先週の馬場差は「-0.8秒」だったが、今週は明らかに時計の出る馬場。よって、31日、1日とも『-1.0秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)