記録のかかる一戦になる。牝馬のベルカントが、牡馬相手に本気でGIタイトルを獲りにきた。
グレード制が導入された84年以降、8頭の牝馬が出走し、89年サクラサエズリの2着が最高。阪神JFに駒を進めるのが通例だが、角田師の選択に迷いはなかった。「阪神のマイルで逃げ切るのは至難の業。中山のコース形態の方が個性を生かせると思う」と、その理由を説明する。
「牝馬とは思っていないから」。どっしりとした性格やカイ食いの良さから、これまで牡馬のように扱ってきた。1週前追い切りは栗東坂路で4F50秒7-12秒8(一杯)の一番時計を記録。先輩僚馬に1馬身先着を果たしたように、中間はハードなトレーニングで負荷をかけた。
ファンタジーSで重賞を初V。心配された折り合いを難なくクリアした。「普段はおとなしいけど、競馬へ行くとスイッチが入る」。そのため前走はリングバミに、メンコ着用と工夫を凝らした。「今回はさらにメンコを二重にする」。ワンランク上の仕様で挑む。
主戦の武豊が平地GIで勝っていないのはこのレースだけ。JRA・GIの完全制覇まであとひとつ-。牝馬初Vでコンプリートを誓う。
提供:デイリースポーツ