23日に手術をしたメルシーエイタイム、経過は順調/美浦トレセンニュース

2013年12月27日 17:25

手術が成功し、回復に向かっているメルシーエイタイム(2007年中山大障害優勝時、撮影:下野雄規)

 2007年の中山大障害(J.GI)に優勝し、同年の最優秀障害馬に選ばれたメルシーエイタイム(牡11・武宏平厩舎)が、通算8回目の出走となった今年の中山大障害(12/21)で、着地時に転倒して競走を中止するというアクシデントに見舞われた。

 レース後、左第2趾関節脱臼を発症していたことが判明し、美浦トレーニングセンターの競走馬診療所で手術が行われた。

 手術は無事成功し、現在も同所に入院中のメルシーエイタイムについて、デビュー時から担当してきた北尾俊幸調教助手に話を聞いた。

「(空馬で走っていた)馬が捕まった時に職員さんに無線が入って、『脱臼をしています』という言葉が聞こえてきました。その時はもうダメだと思いましたし、このレースで引退が決まっていましたから、競馬場の診療所に運ぶ馬運車の中で、最後にこんなに痛い思いをさせてゴメンねと馬に謝りました。

 レントゲンを撮影後、長年障害界を盛り上げてくれたこと、そして通常の脱臼と位置が少し違っていて、ズレの程度も小さかったということで、一晩様子を見て大丈夫そうなら、手術をすることになりました。

 美浦に運ぶ馬運車の中が1番大変でした。揺れるので、何度も倒れそうになっていましたからね。そのうち馬も慣れてきて、前脚を開いて踏ん張ってバランスを取っていましたが、結構汗だくになっていました」

 1枚のプレートを3本のボルトで、さらに両サイドを1本ずつの、計5本のボルトで患部を固定する大手術が、12月23日に行われた。

「手術は成功しましたが、蹄葉炎や合併症、患部を大きく開いて手術をしていますので、細菌が入っての細菌感染症の心配もありました。ただ馬房で寝転ぶことができたということで、脚にも負担があまりかからなそうなので、蹄葉炎の心配はなくなったかなと思います」

 現在、メルシーエイタイムは、心配された蹄葉炎や合併症、細菌感染症を発症することなく順調な経過を辿っている。職場の制約等があり、美浦で越年できない北尾調教助手は、替わりに世話をしてくれるベテランのヘルパー(厩務員経験者)に同馬を託し、12月27日に美浦を後にした。

「最短で2週間で退院できると聞いていますが、もう少し延びるかもしれませんね。休みの日に会いに来ようかなと考えています」

 引退後に過ごす牧場も既に決まっていたというメルシーエイタイム。長年苦楽を共にしてきた相棒が、1日も早くのんびりと余生を送れる日が訪れることを、北尾調教助手は切に願っていることだろう。(取材:佐々木祥恵)

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