栗東CWで追われてから約10分。逍遙(しょうよう)馬道を抜けた先、坂路上の角馬場で、ジャスタウェイは常歩で淡々とクールダウンしていた。既に息は整っている。始動戦を控えた昨秋の天皇賞馬をじっと見つめる須貝師。ネックウオーマーで顔の下半分は隠しても、下がった目尻で満足そうな笑みが見て取れる。
「(福永)ユーイチがビックリしていたわ。秋の天皇賞より、もっと良くなっているって」。口を開くとやはり上機嫌だった。馬は見た目にもトモが充実して、ひとまわり大きく見える。「天皇賞がピークだと思っていたけどね。さらに上があったな。体重にして10キロくらい増えてるんじゃないか」。自信たっぷりに胸を張った。
その驚いたという福永は3週間の騎乗停止で始動戦で騎乗できない。でもここはドバイデューティフリー(3月29日・UAEメイダン、芝1800m)への壮行戦。遠征のためにも調教にまたがった。シュテルングランツ(3歳未勝利)が相手だったが、直線であっという間にかわす。6F83秒3-38秒8-12秒3で1馬身の先着。フットワークも軽い。「昨夏のエプソムCでも充実していると思ったけれど、さらに成長していると感じた。身が詰まってきたね。乗れないけれど、今の感じでどんな競馬をするか楽しみ」。手綱に残る好感触を感じながら、鞍上は先々への期待感を言葉に込めた。
トレーナーは、そんな期待感をさらに膨らませる。「今回は4つのコーナーがある。これをクリアできるとドバイだけでなく、今後の競馬にもつながってくる」。中山の9Fは単なる壮行戦にとどまらない。超の付くスターホースへと続く階段。その1段目と位置づけた。
提供:デイリースポーツ