栗東CWでパワーアップを印象付けたストレイトガール
降りしきる雨。そのかすみの中でも、ストレイトガールのピカピカの鹿毛の躍動は浮き出て見えるようだった。栗東CWの4角をクリアし、左手前にスイッチ。振り上げる両前肢は、首の位置に届かんばかりに柔らかく前へ。ウッドチップを力強く蹴り上げ、さらに状態面の充実ぶりを物語る太い首はリズミカルにハミを押す。
鞍上のステッキは抜かれないまま。自ら加速し、重たい馬場をものともしない追い切りを披露した。5F64秒8-37秒2-12秒4としまいの切れ味は抜群だ。「(3歳時との比較で)30キロ以上も大きくなった。体力が充実した。パワーアップしたね」と藤原英師はうなずく。昨夏に函館で復帰して以降は8戦6勝。この快進撃が始まった当時よりも雄大になった馬体が、躍動感を一層、際立たせた。
何から何まで、敏腕トレーナーの計算通りだ。重賞初挑戦となった3走前のキーンランドC2着後、函館から栗東への帰厩時に輸送熱を発症した兆候があるとみるや、秋競馬の全休を決断。「使い詰めだったから(スプリンターズSは)使えないだろうとは思っていた。帰ってきたら案の定、輸送熱や。成長を促して休ませたらグンと良くなって帰ってきた」。待ちの姿勢は、師の読み通りに実を結ぶ。なおかつ、このフジキセキ産駒の良化度は予想をはるかにしのいでいた。
前走のシルクロードSを2馬身半差で完勝。未知数だった高速決着も難なくクリアと、GIには初挑戦でも期待は膨らむばかりだ。「以前から素質(の高さ)は感じていた馬。ここを目標に逆算して調教を進めてきた。予定通り、予想通り。順調」。ビッグタイトルを手中に収めるための算段は、師の胸のなかできっちりとはじかれている。
提供:デイリースポーツ