悲願のGI制覇へ向けて態勢万全のウインバリアシオン(撮影:花岡貴子)
悲願のGI制覇へ向け、ウインバリアシオンが「言うことなし」(松永昌師)というほど順調にきている。
「これまで屈腱炎を煩い、裂蹄に泣かされてきた。馬体重が減らずに心配したこともあった。ところが、今回は状態面の不安がないんですよ。これほどいい状態でGIに挑めるのは本当に嬉しいですね」
と調教パートナーの中山助手も愛馬の状態のよさを絶賛。担当の竹邑厩務員の表情もいつも以上に明るく、陣営の雰囲気の良さはピカイチだ。
一昨年、これからというときに左前浅屈腱炎で1年5ヶ月の休養を余儀なくされた。
「競走馬としていちばんよくなるはずの時期に休んでいましたからね。それでいて、いまこれだけ走るのはすごい。」(中山助手)
今週、調教後の馬体重は540キロ。前走の日経賞と比べて10キロ以上増えてパワーアップしている。
「昨年の秋冬は長期休養でゆるんだ体を絞るために汗取りもしましたが、今年放牧から帰ったあとはそれもせずに済んでいます。日経賞と比べて馬体重が増えているのは気にしていません。これだけ調教を積んで増えているのだから、それだけ具合がいいんでしょうね。」(竹邑厩務員)
充実期を迎え、レースぶりもさらに巧みになった。
「日経賞ではペースの上がったところで馬なりであがっていけた。仕掛け倒して行っているわけではないですしね。体力がついた分、以前より前へ行けるようになりましたね。そこからさらに、上がりが33秒9と長くいい脚を使えました。」(中山助手)
鞍上の指示には実に忠実にこたえる。
「シュタルケ騎手はウインバリアシオンのことを「頭がいい」と評していましたね。『これだけ従順でGO、STOPがわかっている馬は少ない』と誉められました。」(中山助手)
これまでGIは6戦し、2着3回、3着1回。あとの2回も4着、5着と掲示板をはずしたことがない。やはり欲しいのはGIのタイトルだ。
「気になるのは前へ行く馬。これまでネコパンチ、ビートブラッグなど何回も前に行く馬にやられていますからね。2周目の坂を上がるまでに流れに乗っている馬がどれかなのか。ただ、バリアシオンは脚質的に前にいく馬ではないから。自分の競馬をするのが大切。あとは、勝利の女神が微笑んでくれるかどうかですね。」(中山助手)
(取材・写真:花岡貴子)