天皇賞・春連覇を達成したフェノーメノ鞍上蛯名騎手は「今年も京都の直線は長かったです」と語った
四強の戦いと言われた今年の天皇賞・春。その中でも4番手と目されていたフェノーメノが、力強い走りで連覇を成し遂げた。前走は9カ月ぶりのレースで馬体が減っていたが、一叩きした今回はプラス10キロと体を増やしてきた。黒光りする体が、パドックで一際目を引いた。(取材:赤見千尋)
◆1着フェノーメノ
・蛯名正義騎手
「厩舎の皆さんの頑張りのおかげで、ここまでよく馬を戻してくれました。去年の天皇賞の出来を考えると、まだあと1歩というのはありますが、厩舎と馬の頑張りでしのいでくれました。
去年の秋は1走もできず、牧場も厩舎も僕も悔しい思いをしました。だからこそ結果を出すことができてうれしいです。後ろをあまり気にせず自分のタイミングでと思いました。今年も京都の直線は長かったです。なんとしても勝ちたいという気持ちも相まって、余計長く感じました」
・戸田博文調教師
「素直に嬉しいです。この馬の本当の走りを見せられて、良かったですね。前走はGI馬として情けないレースをしてしまったけれど、ここへのステップと考えれば合格点ではないかなと思います。
このレースを目標に秋を全休で立て直してきました。去年の秋から悔しさを胸にここまでやって来たので、本当に嬉しいですね。
前走は正直に言って、よかれと思ってやったことが、全部裏目に出てしまった感じでした。ただそれも、レース後に刺激になって、プラスアルファの部分にもなったのかなと。この短期間でここまで戻ってくれたのは、その辺りのことが無意味ではなかったんだと思います。
レースは自分のリズムで走れて、これなら最後まで頑張ってくれるんじゃないかと思いながら見ていました。去年より見ている方としては余裕があったというか、人気も落ちていましたし、人気とは裏腹に自信がありました。直線を向いてゴーサインを出した時にはこれならいけるだろうと思いました。
今回は輸送もすべてうまくいきましたし、装鞍から馬がすごく良かったです。
この後ははっきり決めていないですが、今年は秋天、ジャパンカップ、有馬記念とフル参戦したいです」
◆二着は、急遽乗り替わりとなったウインバリアシオン。
・武幸四郎騎手
「出来は良かったしスムーズに行きました。一瞬先頭に立ったですけど、相手が最後もう1度伸びました。勝ちパターンだと思ったし勝ったと思ったけど、惜しかったです」
◆三着は12番人気の低評価を覆し、ホッコーブレーヴが突っ込んだ。
・田辺裕信騎手
「道中で少しハミを噛んだけど、あとはすべてスムーズに行きました。みんなの意識が後ろにあったことも良かったです。本当は中山や阪神など坂のある方がいいですけど、このメンバーでよく頑張ってくれましたね」
◆1番人気のキズナは、外から伸びるも四着にとどまった。
・武豊騎手
「残念です。レース自体はいい感じだったですけど、思ったよりも伸びませんでした。本当はもう1段ギアがあるんですけど、そのギアが入らなかったです。距離なのかはわかりません。今日は本来の走りが出来なかったけれど、次は巻き返したいです」
◆ゴールドシップは、後方から上がって来たが、七着までだった。
・クレイグ・ウィリアムズ騎手
「調教ではリラックスした走りだったし、落ち着いていてベストコンディションでした。ただ、ゲートの中で待たされた時にしばらくして立ち上がってしまいました。そこから力んでしまい出遅れてしまいました。それがかなりのロスだったと思います。関係者の皆さんや、支持してくれたファンの皆さんの期待を裏切って申し訳ないです」