ブリンカーを着用して平安Sの最終追い切りを行ったクリノスターオー(撮影:井内利彰、撮影日は5月20日)
今週の栗東は18日夜から19日朝にかけて雨。そして、追い切りが集中した20日は調教開始前から濃霧が発生し、調教開始から1時間程度はトラック馬場の追い切りで時計をとる際に支障が出た。
また、20日夜にかなりの雨量があったが、強い日差しと適度な風もあって、ウッドチップ馬場が大きく影響を受けるということはなかった。ただ、先週との比較では、さすがに水分を含んだ馬場ということで、馬場差としては先週よりも時計を要する状態。
【坂路/4F51.9秒】
20日。一番時計はトウケイヘイロー(栗東・清水久詞厩舎)の4F51.1秒。4F50秒台はおらず、4F51秒台も一番時計を合わせて4頭だけ。4F52秒台の頭数はそれなりに多かったので、極端に時計を要する馬場というわけではないものの、先週あたりと比べると時計が出にくい馬場になっている。
平安Sの連覇を狙うクリノスターオー(栗東・高橋義忠厩舎)は単走追い切り。画像でもお分かりだと思うが、幸英明騎手が跨って、前走からレースでも使っているブリンカーを着用しての追い切りだった。以前とは違って、スタートから行きたがることもなく、後半にしっかり脚がたまった走り。4F54.0秒、1F12.8秒というバランスは非常に評価できるが、この馬自身は昨年の平安S最終追い切りで4F52.0秒と速い時計をマークしているだけに、落ち着いた走りを単純に評価するのか難しいところ。
先週の馬場差は「±0.0秒」。文中にも記しているように、今週のウッドチップは水分を含んでいて、走りにくい状態であることは間違いない。よって、馬場差は20日、21日とも『+0.6秒』で記録している。
【CW/5F66.5秒】
20日の開門直後は霧の影響で、全くの視界不良。私が時計をとる、厩務員スタンド側から見えるのは、ラスト1Fの標識とゴール標識がかろうじて判別できるくらい。向正面はもちろん、1コーナーの入口や4コーナーから直線にかけても見えないので、ラスト1F標識手前で、突然、特殊ゼッケンを着用した馬を発見するということも多々あった。霧が晴れたのは、1回目のハローが終わった7時すぎだった。
5Fの一番時計はテンから引っ掛かり気味だったティーエスハーツ(栗東・岩元市三厩舎)の4F62.8秒。ラスト1Fは13.4秒要したものの、前半の飛ばしっぷりを見ていると、もっと止まってもおかしくなかったので、雨の影響を受けているとはいえ、極端に時計を要する馬場ではない。
なお、先週の馬場差は「-1.5秒」。先週よりも時計を要する馬場状態であることは間違いないが、それでも全体的な時計の出方を見ると、基準時計よりは速いので、20日、21日ともに『-0.5秒』で記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
先週の芝馬場使用頭数はそれなりに多かったが、今週も雨の影響や2歳新馬が芝の感触を確かめるために追い切りを敢行。すでにデビュー戦が決まっているドルフィンマーク(栗東・須貝尚介厩舎)やシルヴィーボーテ(栗東・松永昌博厩舎)などが時計を出している。馬場差に関しては、馬場が緩く、芝の塊も飛んでいたので、20日、21日とも『+0.5秒』で記録している。
ポリトラック馬場の追い切り頭数は意外と少ない。前走ブリリアントS時の最終追い切りでは抜群の動きを見せていたドコフクカゼ(栗東・友道康夫厩舎)の今回の最終追い切りは意外と地味。そんなこともあり、特に今週はポリトラック馬場から目立った動きを見せた馬はなかった。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)