長期休み明けの前走を使って確実に上向いているトーセンバジル(最後方右、撮影:井内利彰)
18日に梅雨明けとなった近畿地方。そんなこともあってか、朝と晩は窓を開けていれば涼しい風が入ってくるような過ごしやすい気候。各厩舎では夏の暑さ対策としてミスト付きの扇風機を利用しているところも多いが、その設定も中や強ではなく、弱でも十分対応できるような状態。これから数日も平年よりは気温が低めなので、馬には少しでも楽になりそう。
馬場状態に関しては、雨が降っていないこともあり、乾燥しているものの、だからといって困るほどの状態ではない。どの馬場に関しても、ほぼ基準時計通りの走りやすい馬場だと考えてよいだろう。
【坂路/4F51.9秒】
20日。一番時計は4F49.0秒のネロ(栗東・森秀行厩舎)。この馬自身、自己ベストが4F48.6秒という数字を保持しているため、極端に速い時計が出る馬場というわけではない。ただ、4F50秒台が6頭いたり、4F51秒前半も多数いる状況を考えると、走りやすい状態だったことは間違いない。
ただ、全体的に速い時計が出た印象を受けるのは、来週の直線競馬の芝重賞アイビスSDや、小倉芝1200mの1600万下佐世保Sに出走を予定している馬たちの追い切りが行われているといった状況もあった。よって馬場差を考慮する時には時計上位のメンバーだけでなく、中盤から下位にかけてどんな数字の並びになっているかを確認することも重要。
21日。一番時計は4F49.6秒のカオスモス(栗東・森秀行厩舎)。昨年の中京記念に向けた最終追い切りでは4F49.0秒で自己ベストを更新。それと比較すると、今年の方が遅い時計になるので、これは馬場差の参考になる時計。
動きとして目立ったのは、武幸四郎騎手が跨って単走で追い切ったコクスイセン(栗東・田中章博厩舎)。4F51.5秒は自己ベストを0.5秒も更新する数字であり、当時よりもラスト1Fが速い。単にスピードが出るようになったわけではなく、最後の踏ん張りがしっかりしてきたからこそのベスト更新。来週のレースを予定しているようだが、今の状態なら楽しみ。
先週の馬場差が「-0.3秒」。今週も状態としてはほとんど変わりないし、時計の出方も同じ。よって20日、21日とも先週と同じ『-0.3秒』で馬場差を記録している。
【CW/5F66.5秒】
20日。馬の少ない時間帯に追い切ったゴーインググレート(栗東・岩元市三厩舎)が単走で6F77.5秒と速い時計をマーク。スピードの持続力が特徴の馬なので、このくらい動けて不思議ないのだが、止まってしまうような重い馬場でないことは確か。ただ、ノボリクラウン(栗東・松永昌博厩舎)のように、まだ未勝利レベルとなれば、テンから飛ばしすぎて、最後は1F15秒近い数字になってしまう。これらの事象を合わせて考えると、走りやすいが極端に時計が出る軽い馬場でもないということ。
21日。今週の渥美特別を予定しているトーセンバジル(栗東・藤原英昭厩舎)が福永祐一騎手騎乗で最終追い切り。シーリーヴェールを追走する内容だったが、最後は内から楽に先着して、ゴールを過ぎてもその勢いは止まらない感じ。長期休み明けの前走を使って、確実に上向いているというところか。神戸新聞杯はリアファル、リアルスティールの3着。能力はこのクラスにいるような馬ではない。
先週の馬場差は「-0.4秒」。全体的な時計の出方を見ると、先週とあまり変わりない印象。よって20日、21日とも先週と同じ『-0.4秒』で馬場差を記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場での追い切りは20日、21日ともに確認することができなかった。よって、馬場差に関してはあくまで見た目の印象だが『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場は20日の追い切り頭数が20頭ちょっと。5F61秒台のキュイラッサ(栗東・森秀行厩舎)は、未勝利クラスながら中京2歳Sに登録。確かにスピード能力は未勝利より遥かに上と思われるが、現状の経験値でどうか。馬場差は20日、21日とも『-1.0秒』で馬場差を記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・写真:井内利彰)