引退が決まったココロノアイと、別れを惜しむ前田廣宣調教助手(撮影:佐々木祥恵)
来週の府中牝馬S(GII)に向けて調整されていたココロノアイ(牝4・美浦・尾関知人)が、右前脚に屈腱炎を発症。引退が決まった。今後は生まれ故郷で繁殖馬となる予定。
「先週の追い切り後、痛みはなかったのですが、右前脚に気持ち悪い感じがありましたので、エコー検査を行ったところ屈腱炎だとわかりました。1年以上休ませて復帰をしてもリスクが伴いますし、オーナーと相談の結果、引退することになりました。元々、繁殖牝馬として牧場に帰さなければと思っていましたし、今日(5日)北海道の酒井牧場へと帰ることになりました」
名牝マックスビューティの血を引く同馬の名付け親ともなった尾関師にとって、思い入れの深い一頭だけに、その口調はしんみりとしていた。
引退の報を受けて尾関厩舎を訪ねたのは、ココロノアイが北海道に出発する直前だった。苦楽をともにしてきた前田廣宣調教助手とココロノアイのツーショットを撮影しながら、思い出話を聞く。印象に残っているレースは「アルテミスS」。アオリ気味でスタートし、途中から掛かり気味に殿から一気に3番手に上がると、直線では力強いフットワークで後続を封じ込めた。その粗削りなレースに「勝てるとは思わなった」と前田助手は振り返る。
「頭が良い馬ですね。人の言うことをきかないんです(笑)。頭が良い馬はそういうところがありますよね。最後まで懐いてはくれませんでしたけど(笑)、やはりいなくなるのは寂しいです。ココロノアイの子供を、是非担当したいですね」
取材の間中、ココロノアイと戯れながら、前田助手は別れを惜しんだ。
今日5日付けで競走馬登録が抹消されたココロノアイは、北海道浦河郡浦河町の酒井牧場へと出発した。
通算成績11戦3勝 重賞勝ち:2014年アルテミスS(GIII)、2015年チューリップ賞(GIII)
(取材・写真:佐々木祥恵)