メイクデビューで注目されるのは、出走馬自身であることはもちろんだが、その父が新種牡馬であれば、話題になることもしばしば。先週は現役時代に安田隆行厩舎で管理された新種牡馬ロードカナロアの産駒、トロワゼトワルが新馬勝ち。同じ厩舎というだけでなく、担当者もロードカナロアと同じ岩本龍治調教助手だから、競馬の「縁」とは面白いもの。

　ちなみに現在、安田隆行厩舎に在厩しているロードカナロア産駒、ミッキーワイルド(母ワイルドラズベリー)も注目の1頭。すでにゲート試験に合格し、新潟デビューを視野に入れて、現在は放牧に出されているヤエノグラフ(母シーカーマ)など、今後の安田隆行厩舎のロードカナロア産駒にも注目してほしい。

【7月8日(土)　中京芝1600m】

◆ミッキーマインド(牡、父ディープインパクト、母マイグッドネス、栗東・音無秀孝厩舎)

　先週、7月1日の中京芝1600mでデビューをお伝えしていたが、当初騎乗が予定されていた松若風馬騎手の騎乗停止などもあり、福永祐一騎手が騎乗できるこの番組へスライドしている。

　先週の時点でデビューしても十分に乗り込まれている状態だったが、さらに追い切りを重ねたことで動きが良化。6月28日の栗東坂路での併せ馬では、下記で紹介するアサクサゲンキとの併せ馬で4F51.7秒をマーク。初めて一杯に追われたこともあり、これまでの4F時計を大幅に詰める形となった。力を出せる状態に仕上がっていることは間違いないだけに、あとは兄や姉がダートで活躍している点がどうかというだけ。

【7月8日(土)　中京ダート1400m】

◆ローブレガリア(牝、父ハーツクライ、母ベルベットローブ、栗東・野中賢二厩舎)

　半兄に2014年北海道スプリントCを優勝したアドマイヤサガス(父フジキセキ)がいて、半姉ローブデソワ(父スペシャルウィーク)はこの中京ダート1400mの新馬戦を含めて、ダート1400mで4勝。本馬もここを目標に調整されているが、管理する野中賢二調教師は「調整などはすごく順調だけど、この馬に関してはストライドが大きくて、もう少し距離があってもいいかも知れない」という感触のようだ。

　6月29日のCWコースでは、加藤祥太騎手(レースは松山弘平騎手)が跨っての併せ馬。5F追い切りの最内だったが、しっかりと伸びて3頭併せの最先着となった。流れに乗ったレースができれば、良い結果が期待できそうだ。

◆アサクサゲンキ(牡、父Stormy Atlantic、母Amelia、栗東・音無秀孝厩舎)

　母系には1994年阪神3歳牝馬S(現阪神JF)を制したヤマニンパラダイス(父Danzig)や2002年皐月賞を制したノーリーズン(父ブライアンズタイム)がいる血統。

　父の父がStorm Catの外国産馬ということもあって、当初からこの番組を目標に調整。栗東坂路では常に馬なりで4F53秒台という動き。6月28日の坂路での併せ馬はミッキーマインドを追走して、なんとか追いついて同入。4F51.5秒、1F12.9秒は新馬としては即勝ち負けのレベルといってよいだろう。鞍上は福永祐一騎手が予定されている。

【7月9日(日)　中京芝1400m】

◆イッツパーフェクト(牡、父Frankel、母パーフェクトトリビュート、栗東・安田隆行厩舎)

　日本で走っているFrankel産駒の代表は、G1で2勝を挙げているソウルスターリングで文句なし。ファンタジーSを勝ったミスエルテもそうだが、牝馬が活躍している印象で、牡馬は未だ勝ち星がない。果たして、現2歳世代の牡馬から新馬勝ちが出るかどうか。

　本馬は栗東へ入厩してから、ゲート試験合格、追い切り開始と順調。6月28日のCWコースでも6F82.8秒としっかり時計を出してきたが「追い切りに騎乗したジョッキーの感触でも、まだ緩いところがあるようですね」と安田隆行調教師も辛口のコメント。血統的なことを考えれば、水準より上というくらいでは物足りないといったところだろう。このひと追いでどこまで良くなってくるのか。最終追い切りの動きに注目したい。鞍上は川田将雅騎手が予定されている。

(取材・写真：井内利彰)