アジアのレーススタイルや生活が合うのだと語ってくれたクアトロ騎手
9月から12月までの期間限定で大井での騎乗を始めたライアン・クアトロ騎手(藤田輝信厩舎所属)。フランス・マルセイユ出身の25歳、“平成生まれ”の若武者で、初騎乗となった11日の大井第12レースではさっそくコウギョウダニエルを勝利に導いた。そのクアトロ騎手にこれまでの経歴、日本や日本の競馬への印象、ファンへのメッセージなどを語ってもらった。まずは家族に競馬関係者はいなかったというクアトロ騎手が競馬の道に進んだきっかけや、デビュー当時のことから聞いた。
「家族には競馬関係者はいなかったのですが、父が競馬ファンで競馬を見ていて、それがきっかけで騎手という道を考え始めました。それが10歳の頃でまだ騎手学校にも入れなかったのですが、13歳で試験を受けて合格したので、14歳の時からシャンティイの学校に行きました。そして2009年、17歳の時にフランスでデビューしました。フランスでは2回しか騎乗していなくて、厩舎で朝の調教の手伝いなどをしていました。ある時アメリカに行く機会があり、パトリック・ビアンコーヌ調教師と出会ったんです。そこでビアンコーヌ先生が“君なら絶対チャンピオンになれるからここにいろ”と言ってくれて、アメリカで騎乗することにしたんです。素晴らしい先生です。私が騎手になるための50%は先生のおかげだと思っています」
人との出会いが転機となり、そのキャリアの支えとなっている。もう一つの重要な出来事は、ニューヨークで騎乗するきっかけとなったオーナーとの出会いだった。
「私に注目してくれたオーナーさんがいたんです。その人が“ニューヨークにたくさん馬がいるから、君を主戦騎手として迎えるからおいで”と言ってくれて、ニューヨークで乗ることになりました。それが19歳の時で、“最優秀見習い騎手”になったきっかけでした」
2013年からはマカオジョッキークラブに所属し、今年7月の「マカオゴールドC(G1)」も制したクアトロ騎手。シンガポールでも騎乗し、現在は日本で騎乗。アジアのレーススタイルや生活が合うのだと語ってくれた。
「2月のニューヨークはすごく寒く、ケガをしていて鎖骨が非常に悪い状態で、暖かい場所を探していました。そこで“マカオは暖かいし、レースもとても良いよ”と教えてくれた人がいて、コネクションは何もなかったのですが、マカオで乗ることにしました。3ヶ月くらいの滞在のつもりだったのですが、現地のチャンピオントレーナーの方が“残れ”と言ってくれました。それから、乗っているイメージもライフスタイルもとても自分に合いました。それでマカオでずっと騎乗していました。アジアのレースや生活が自分には合うみたいです。マカオはオーナーからの“勝てるのか?”というプレッシャーがすごくて、それで精神的にも鍛えられたと思います(笑)」