今年の2歳世代は馬主「カナヤマホールディングス」の勢いが凄い。函館2歳Sを制したカシアス(栗東・清水久詞厩舎)に続き、グレイル(栗東・野中賢二厩舎)が京都2歳Sで重賞制覇。カツジ(栗東・池添兼雄厩舎)がデイリー杯2歳S2着、シャルルマーニュ(栗東・清水久詞厩舎)が東京スポーツ杯2歳S3着など、牡馬混合の重賞で所有馬が大活躍している。

　今週は12月9日(土)阪神芝1200mにゼンノロブロイ産駒のグリムが出走予定。管理する野中賢二厩舎からは2頭がデビュー済みだが、いずれもすでに勝ち上がっている。厩舎との相性からも注目すべき1頭だろう。

【12月9日(土)　中山芝1600m】

・ツヅミモン(牝、父ストロングリターン、母カタマチボタン、栗東・藤岡健一厩舎)

　母はダイワスカーレットが勝った2007年桜花賞で3着という実績があるものの、その仔はまだ活躍できていない。しかし本馬は追い切りの動きが抜群。それが未勝利で終わった半姉ツエーゲン(父キングズベスト)とは違うところといってもよいだろう。

　ゲート試験でのラップが11秒台だったこともあり、追い切りでは動くだろうなと思っていたが、栗東坂路ではその想像を超える走り。11月22日の坂路では古馬1600万下を追走して先着。その時計は4F53.0秒、1F12.0秒。全体の数字は水準より少し速いくらいだが、終いのまとめ方が素晴らしい。11月29日の坂路でもほぼ同じような時計、ラップで古馬1000万下との併せ馬に先着。母が特別戦(2歳500万下)を勝ったこの舞台でデビュー勝ちを目指す。鞍上は戸崎圭太騎手を予定している。

【12月9日(土)　阪神芝1200m】

・グリム(牡、父ゼンノロブロイ、母ブランシュネージュ、栗東・野中賢二厩舎)

　半兄に芝1200mで4勝を挙げたヴァイサーリッター(父デュランダル)がいる血統。本馬について「産まれた時から、いい馬だったけど、現状ではまだ動けないかなという印象で入厩。それでも調教ではしっかり動けていますし、こちらがイメージする以上に動けていますね」と野中賢二調教師。

　11月23日、29日と2週続けてCWコースでの併せ馬だったが、3頭併せで常に手応えよく動けている。レースで騎乗予定の幸英明騎手が跨った29日は古馬500万下をかなり追走していたが、追いつき交わして先着のゴール。6F87.3秒と全体時計は遅いものの、終いは11.8秒としっかり伸びている。あとはスタートを決めて、流れに乗ったレースができるかどうか。

【12月10日(日)　阪神ダート1400m(牝)】

・チカフェンネル(牝、父サウスヴィグラス、母エーシンラージシー、栗東・松永幹夫厩舎)

　半兄にダートで6勝(芝で1勝)を挙げたエイシンバッケン(父ヨハネスブルグ)がいる。父がサウスヴィグラスなので、血統的にもよりダート色が濃くなった印象だが、実際の馬の雰囲気も「牝馬にしてはしっかりとした体つきで、パワーがありそうですね」と松永幹夫調教師。

　追い切りに関しては、栗東坂路で4F54秒台、1F13秒台と数字的には目立っていない。しかし「11月22日の坂路は馬なりでしたし、29日は併せ馬できっちり先着。速い時計は出ていませんが、動き自体は力強くてしっかりしています。初戦から楽しみですよ」とのこと。鞍上は川田将雅騎手が予定されている。

・ブライテストリング(牝、父ダノンシャンティ、母ハピネスフォーユー、栗東・高橋亮厩舎)

　半姉は同厩舎で管理され、芝で4勝を挙げているミエノサクシード(父ステイゴールド)。そんなこともあって、きっと芝デビューだろうと思って、高橋亮調教師に聞いてみると「繋ぎが立っていることもあって、現状ではダートから使い出す予定。将来的には芝マイルがベストという感じもしますけどね」とのこと。

　ミエノサクシードも追い切りでは抜群に動くタイプだが、妹も負けていない。11月29日のCWコースでは古馬1000万下を2秒以上追走して同入。時計は6F82.3秒、1F12.3秒と水準を遥かに上回る数字をマークしている。鞍上は福永祐一騎手が予定されている。

(取材・写真：井内利彰)