今年のチャンピオンズC・G1(12月7日、中京競馬場・ダート1800メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負・15年勝ち馬の
サンビスタ(Mデムーロ騎手が騎乗)を振り返る。
JRAのダートG1を史上初めて牝馬が制す快挙を演じた。
単勝12番人気の
サンビスタ(Mデムーロ騎乗)が直線で力強く差し切って快勝。2着は直線で追い込んだ3歳馬
ノンコノユメ。史上初のG1・10勝目を目指した
ホッコータルマエは5着、逃げた1番人気の
コパノリッキーは直線で7着に沈んだ。
単勝12番人気の伏兵が快挙を成し遂げた。476キロとメンバー3番目に軽量で、相手には500キロを超える馬が10頭もいた。
コパノリッキーと
ホッコータルマエが直線で抜け出し、大本命2頭の叩き合いかと思われたラスト1ハロン過ぎ。Mデムーロに導かれた
サンビスタが勢いよく迫り一気にかわした。悲鳴と歓声が交錯するスタンド前。内から迫る
ノンコノユメも届かない。2着に1馬身半差の完勝。JRAのダートG1で史上初めて、牝馬が強豪牡馬をねじ伏せた。
こん身の
ガッツポーズでデムーロが快挙を誇示した。「すごい! 気持ちいいね。(角居)先生には(昨年の)4着を超えてほしいと言われたけど、僕は勝ちたかったし、記録を塗り替える自信があった」。JRAダートG1で牝馬は過去、
ゴールドティアラの00年フェブラリーS2着が最高成績。鞍上にとってもダートG1制覇は初めて。ダブルの喜びに顔を紅潮させ、関係者と何度も抱き合った。
最高の騎乗で導いた。スタートを決め、押して好位直後のインを確保。この時点で勝利を大きく引き寄せた。「内枠がすごく良かった。いい位置が取れて、道中もいい手応え。本当にイメージ通り。ちょっと早く先頭に立って物見したけど頑張ってくれたね」とデムーロ。角居調教師も「ダート(G1)は力がないと、牝馬ではなかなか通用しないのではと思っていましたが。ミルコ(デムーロ)の
ファインプレーです」と能力を余すことなく引き出す騎乗を手放しでたたえた。
6歳で15年2月に引退予定だったが、オーナーサイドとの協議で現役を延長。3月以降の6戦すべての重賞で掲示板を確保する安定した走りで期待に応えてきた。「牝馬はフケ(発情)とか、体調を安定させるのが難しい。でも競馬への前向きな姿勢があり、強い馬とやってきた積み重ねが出たのかな」。05、08年の
カネヒキリに続くレース3勝目を手にしたトレーナーはうなずいた。
このレースを最後に引退し、繁殖牝馬になった。産駒の
ジレトール、
マキシマムビスタなどはダート路線で活躍している。