能力発揮は1,2着馬だけ/兵庫ゴールドT回顧(斎藤修)

2017年12月28日 18:00

調子を上げており、能力を発揮することができたグレイスフルリープ

 3頭もの出走取消しがあって何事かと思った方も多かったのではないだろうか。タイセイバンデットは馬体故障だが、オヤコダカ、ストーンリバーは悪天候のため北海道からの輸送が叶わず、レース前日の午前中のうちに出走取消が発表された。タイセイバンデットも含め、それぞれ重賞で実績を残している馬たちだけに、ハンデ差を考えると、なんとも残念だった。

 このメンバーならトウケイタイガーがハナを切るものと見ていたら、スタートして川原騎手が懸命に押していて、さらにムチを1発入れても行きっぷりがよくない。外枠のサイタスリーレッド、さらにグレイスフルリープが、ともに軽く気合をつけただけで機先を制した。

 待望の地元戦となったはずのトウケイタイガーだが、地元の専門紙でもかなり印が薄かったので不思議に思っていたのだが、4コーナー手前で追い通しになってしまった前走笠松グランプリ以上に調子を落としていたのだろう。向正面からずるずると後退し、ブービーのドリームコンサートにも大差をつけられる最下位での入線。東海桜花賞からかきつばた記念を連勝したときのような勢いはまったくなかった。

 逃げたサイタスリーレッドも3コーナーから後退。結局能力を発揮したのは、勝ったグレイスフルリープと、2着のラブバレットだけ。先行した他の2頭が自滅する形になったため、グレイスフルリープにはかなり楽な競馬になった。4番枠だったラブバレットは最初から一旦下げて外に持ち出す作戦だったのだろう。中団からレースを進め、向正面半ばからは軽く仕掛けただけで楽な手ごたえのまま位置取りを上げ、グレイスフルリープの直後まで押し上げた。一瞬これならとも思わせたが、それ以上に手ごたえがよかったのがグレイスフルリープだ。上がり3Fは2頭とも38秒9。最後は脚色が一緒になったラブバレットは差を詰めることができなかった。

 グレイスフルリープは、韓国のコリアスプリントを制してから3カ月ぶりとなったカペラSは9着だったが、勝ち馬からの着差はコンマ7秒。馬群の中で揉まれ、直線ラチ沿いで狭くなって追いづらい場面もあっての結果。そのカペラSからプラス12kg、生涯最高体重の554kgをどうとらえるかは微妙だったが、ひと叩きされて調子を上げていると見るべきだった。

 勝ちタイムの1分28秒4(稍重)は、このレース17回の歴史でもっとも遅いタイム。しかし昨年や一昨年の同日、同じ条件のB級やC級の勝ちタイムと比べると、今年は4秒も5秒もタイムを要していた。昨年、一昨年とも時計の出やすい不良馬場だったとはいえ、その馬場状態の違い以上に今年は時計のかかる馬場だったようだ。

 ラブバレットは見せ場をつくっての2着だが、それほど時計のかかる馬場でなければもっときわどいレースになっていたかもしれない。勝ち馬とタイム差なしの2着だった今年のクラスターCがレコード決着。笠松グランプリ3連覇を達成して笠松コースは得意と言われるが、その3連覇の勝ちタイムは1400メートル=1分23秒〜25秒台。笠松コースは地方競馬の中でも比較的時計が出やすい。ラブバレットは時計の出やすい軽いダートで能力を発揮する。とはいえグレイスフルリープとの斤量4kg差を考えると、完敗だったともいえるのだが。

 3コーナーで一旦下がったサイタスリーレッドだが、コースロスの少ないラチ沿いでなんとか持ちこたえて3着。ここ2戦の中央での結果もそうだったように、オーバルスプリントを逃げ切ったときのような調子にはなかった。

 一昨年のこのレースでワンツーだったレーザーバレット、ドリームバレンチノは、さすがに9歳、10歳という年齢もあっただろうが、時計のかかる重い馬場もあって、後方から末脚を生かす流れにはならなかった。ドリームバレンチノはこれがラストランとなるようだ。

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