今週から中京開催がスタート。この開幕週を待っていた馬が多く、ここで紹介した馬以外にも有力どころがひしめいている。特に初日の芝1600mは1週前追い切りの時点でデビュー勝ちをアピールするような動きを見せている馬ばかり。

　個人的に気になっているのは、Midnight Lute産駒のセデックカズマ(牡、母クライシスオブスピリット、栗東・西浦勝一厩舎)。CWでの1週前追い切りは時計的に地味。ただ、最後の直線での反応の良さと力強い伸びはかなり見どころがあった。浜中俊騎手とのコンビでデビュー予定だが、どんな走りを見せてくれるか楽しみ。

【6月30日(土)　中京芝1600m】

◆アドマイヤマーズ(牡、父ダイワメジャー、母ヴィアメディチ、栗東・友道康夫厩舎)

　今年の日本ダービーを勝った友道康夫厩舎。ワグネリアンはこの中京開催でのデビューだったが、今年の2歳馬で同厩舎から最初にデビューするのが本馬。半兄フレッチア(父Dansili)は未勝利、500万下と連勝中の3歳馬で母は現役時代にフランスで4勝。これから話題になっていきそうな母系でもある。

　ゲート試験に合格した後、一旦放牧へ出るパターンで、6月1日に栗東へ再入厩。10日の坂路では古馬のエトランドルを追走する内容だったが、馬なりで追いついて4F54.2秒をマーク。この時点で相当な動きだが、13日のCWは2歳新馬を相手に楽々の先着。そして21日のCW。3頭併せの最後方で先頭との差は3秒以上ある状態だったが、ゴールではあっさりと追いついて、6F80.1秒。しかも終いが11.7秒だから、新馬戦は勝てるレベルの時計はマークした。あとは実戦。鞍上はM.デムーロ騎手が予定されている。

◆ケイデンスコール(牡、父ロードカナロア、母インダクティ、栗東・安田隆行厩舎)

　昨年の中京開幕週はトロワゼトワル(中京芝1600m牝)が新馬勝ちを決めた安田隆行厩舎。今年も同じロードカナロア産駒がスタンバイ。おじに目黒記念など重賞6勝のフェイムゲーム(父ハーツクライ)がいる血統で、奥の深さもありそうなタイプ。

　それだけに「入厩当初はまだ弱いところがあった」と安田隆行調教師。しかし週を追うごとに同師の評価も上がっていき「かなりしっかりしてきましたね」と短期間での成長を感じている。6月14日の坂路では見習い騎手が騎乗したこともあり、テンから飛ばして4F50.2秒、1F13.4秒。この時計には同師も苦笑いだったが「終いが12秒台なら言うことなしですけどね。まあ、これだけのスピードが出せる馬ということが分かりましたし、ゲートも速いので、初戦から楽しみ」とこの動きを前向きに捉えている。鞍上は福永祐一騎手が予定されている。

【7月1日(日)　中京芝1600m(牝)】

◆エイシンゾーン(牝、父ジャスタウェイ、母エーシンブランシュ、栗東・松元茂樹厩舎)

　厩舎関係者に追い切りの計測をお願いされた時に「これは」と思った1頭。6月21日に芝馬場での3頭併せだったが、馬場状態は前日の雨で相当ぬかるんでいて、大きな芝の塊が飛ぶような状態。前の2頭から1秒以上離れたところから追走していたが、最後の直線へ向いた時にもまだ差は詰まっていなかった。手応えにも余裕がある感じがなかっただけに、大きく遅れてゴールかと思いきや、ゴール手前300mの地点でエンジンがかかって、最後は逆に1秒ほど突き放しての先着だった。

　6F76.2秒は馬場状態を考えれば、相当高い評価をすべき。ラスト1Fが13.2秒と要したが、目一杯というわけではなかったので、全く気にする必要はないだろう。重たい馬場でこれだけ動けたのだから、パンパンの良よりも雨馬場の方が有利かもしれない。なお、鞍上は幸英明騎手が予定されている。

【7月1日(日)　中京芝1400m】

◆トーセンアミ(牝、父オルフェーヴル、母クォリティシーズン、栗東・大久保龍志厩舎)

　初年度産駒から阪神JFを勝ったラッキーライラック、皐月賞を勝ったエポカドーロを輩出したオルフェーヴル。現2歳世代もすでに2頭が勝ち上がっているが、そのうちの1頭が本馬と同じ大久保龍志厩舎のジャミールフエルテ。なお、本馬の半兄にはダートで3勝を挙げているテンザワールド(父ダイワメジャー)がいる。

　レースでも騎乗予定の福永祐一騎手が跨った、21日のCWでは全体時計が遅かったこともあり、少し地味な動きにも映ったが、6月14日の坂路では4F54.0秒、1F12.5秒で併せた古馬500万下に馬なりで先着している。ゲートもそこそこ速いので、卒のないレースぶりで結果を出す、そんなイメージができるここまでの調教過程といってよいだろう。

(取材・文：井内利彰)