ここまで順調に調教を消化してきたバニュルス(撮影:井内利彰)
今週で中京開催が終了。今年もこの開催では来春も楽しみな存在になってくれそうな馬たちが続々と勝ち上がったが、それらが集まって面白いレースになりそうなのが中京2歳S(7月21日・中京芝1600m)。
開幕週の中京マイルを勝ち上がったアドマイヤマーズ(牡、父ダイワメジャー、母ヴィアメディチ、栗東・友道康夫厩舎)が主役になりそうだが、同じ中京マイルの牝馬限定戦を勝ったエイシンゾーン(栗東・松元茂樹厩舎)もまだ奥がありそう。ここに前開催の阪神で勝ち上がった組も混じってくるので、今年の中京2歳Sは今年の年末はもちろん、来春にもつながるステップレースになるかも知れない。
【7月21日(土) 中京芝1600m】
◆バニュルス(牡、父ロードカナロア、母ピーチブローフィズ、栗東・藤原英昭厩舎)
母系に芝で6勝を挙げたカフナ(父キングカメハメハ)やオークス2着のベッラレイア(父ナリタトップロード)がいる血統。2017年セレクトセール1歳では、9936万円(税込)で取引されている。
本馬は栗東へ入厩して追い切りを進めながら、ゲート試験に合格。センスある動きでここまで順調に調教を消化してきた。7月11日のCWではレースで騎乗予定のM.デムーロ騎手が跨っての併せ馬。先行していたカーサデルシエロと同入だったので、動き自体は地味だが、それなりの距離を追いかけて余力もある感じだったので、遅れ気味のゴールだったことは全く問題ない。むしろ馬体の良さは目立っているし、現状でどのくらい動けるか楽しみなくらい。
【7月21日(土) 中京芝1400m】
◆ジョニーズララバイ(牡、父マンハッタンカフェ、母メジロアリス、栗東・音無秀孝厩舎)
半兄コウソクストレート(父ヴィクトワールピサ)は2017年ファルコンSを優勝。その年のセレクトセール1歳で4752万円で取引されたのが本馬だが、春に入厩した時に「いかにもスピードがありそうなタイプ」とコメントしたのは音無秀孝調教師。
ゲート試験合格後に一旦放牧へ出されて、6月30日にノーザンFしがらきから帰厩。7月5日の栗東坂路で4F53.2秒をマークしたかと思えば、11日には4F51.4秒と更に時計を詰めてきた。ラスト1Fが13秒台要している若さはあるものの、現状で新馬勝ちできるスピード発揮能力は十分にある。あとはそのスピードで押し切れるかどうか。なお鞍上はM.デムーロ騎手が予定されている。
【7月22日(日) 中京芝2000m】
◆プランドラー(牡、父ディープインパクト、母プラウドスペル、栗東・池江泰寿厩舎)
半兄マジカルスペル(父Creative Cause)はダートで4勝、全兄グレートウォリアーは芝2000mで2勝を挙げているが、いずれも今後の活躍も楽しみな逸材。この2頭の共通点は芝1800mでデビューして、ともに3着。新馬戦向きではない血統といった見方もできるかも知れない。
本馬はゲート試験合格後に一旦放牧へ出されて、栗東へ帰厩してからはCWでの追い切りを積み重ねている。7月5日、7月12日とも古馬を追いかける内容だったが、一杯に追われても追い越せない。時計が速いので十分に動いているという判断もできるが、池江泰寿厩舎で新馬勝ちするのは、デビュー前から併せ馬で楽々先着するようなタイプ。あとは最終追い切りも含めて、どんな動きでどんなレースを見せてくれるかといったところ。鞍上はM.デムーロ騎手が予定されている。
◆アドマイヤポラリス(牡、父ジャスタウェイ、母ソングオブサイレンス、栗東・友道康夫厩舎)
すでに新馬勝ちが出ている新種牡馬、ジャスタウェイ産駒。勝った距離が芝1200m、芝1600m、芝1800mと幅広いところに面白みがあり、この馬が芝2000mを勝つようなら、また距離の幅が広がる。
6月15日のゲート試験に合格した後、少しずつピッチを上げながら時計を出しているが、坂路での15-15も併用した丁寧な乗り込みの効果なのか、週を追うごとに動きが良くなっている。7月11日はレースで騎乗予定の福永祐一騎手が跨っての併せ馬だったが、3頭併せの真ん中で追いかけてきた古馬インヴィクタにはきっちり先着。前を走っていたレイローと同入という内容だったが、6F82.5秒、1F11.7秒は時計的にも十分。これだけ動くことができれば、実戦での走りが楽しみ。
(取材・文:井内利彰)