鞍上に武豊騎手を配してデビュー予定のイニティウム(撮影:井内利彰)
芝レースのメイクデビューは1200mと1800mという距離選択しかない小倉競馬場。よって栗東所属馬が距離を求めて新潟へ遠征することがあるというのは先週もお伝えした。だからといって、小倉のメイクデビューはレベルが低いわけではなく、後の重賞ウイナーもたくさんいる。
昨年の小倉芝1800m(9月3日)でデビュー勝ちを決めたメイショウテッコン(栗東・高橋義忠厩舎)はラジオNIKKEI賞を優勝。一昨年の小倉芝1800m(8月21日)を勝ったペルシアンナイト(栗東・池江泰寿厩舎)はマイルCSを制するなど活躍を見せている。
【8月4日(土) 小倉芝1200m】
◆ダブルクラッチ(牡、父トーセンジョーダン、母プルーフオブラヴ、栗東・野中賢二厩舎)
母系に今年のクイーンCを勝ったテトラドラクマ(父ルーラーシップ)がいる血統で、父は今年の2歳が初年度産駒となるトーセンジョーダン。父は2歳時にホープフルSを勝っているが、G1を勝ったのは5歳の天皇賞・秋という成長力ある血統。
本馬についても「少しずつ良くなっている現状。成長力がありそうなので、先々が楽しみなタイプだと思います」と野中賢二調教師。とはいっても、CWでの追い切りでは5F66.0秒をマークしており、時計的には水準以上といってよい。レースでの鞍上は北村友一騎手が予定されている。
【8月5日(日) 小倉芝1800m】
◆イニティウム(牡、父ハーツクライ、母ゴールデンドックエー、栗東・須貝尚介厩舎)
ディープインパクト産駒の半兄アルバートドックは七夕賞など重賞2勝。そして同じくディープ産駒の半兄リライアブルエースは先日の中京記念で3着ときょうだいが重賞で活躍する血統。
本馬は3回阪神開催でのデビュー予定もあったが、一旦リフレッシュ放牧へ出されていた。7月12日にノーザンFしがらきから栗東へ帰厩しているが、前回の在厩時とは全く違う動きを見せている。まず7月19日のCW。攻め駆けするフュージョンロックを追走したが、ゴール前ではきっちり先着する内容で、時計は6F80.7秒とかなり速い。
この時は一杯に追われていたが、7月26日のCWでは持ったままの手応えで併せた相手に先着。余裕ある状態で6F84.6秒、1F11.9秒という数字をマークするあたりが動き上昇中といった感じがする。前記半兄2頭はいずれもデビュー勝ちできなかったが、この動きならと思わせてくれる状態にある。鞍上は武豊騎手を予定している。
【8月5日(日) 小倉芝1200m(牝)】
◆ディーブラッド(牝、父ディープインパクト、母グローリーブラッド、栗東・松永幹夫厩舎)
半兄フォーチュンスター(父ダイワメジャー)は地方所属からJRAへ転入し、1000万下の芝レースで2勝を挙げている。フォーチュンスターは500キロを超える雄大な馬格の持ち主だったが、こちらはディープインパクト産駒の牝馬ということもあってか、420キロ前後の小柄なタイプ。
「大きくはありませんが、調教を進めてもしぼむようなことはなく、馬体に心配はありません。前向きなタイプで初戦から動けそうです」と松永幹夫調教師。7月25日の坂路では4F54.6秒を馬なりでマーク。時計はやれば、もっと詰まってきそうだし、実戦に行って楽しみなところがある。鞍上は武豊騎手が予定されている。
【8月5日(日) 新潟芝1800m】
◆ブラックアイドタフ(牡、父ルーラーシップ、母ファンタジックアイ、栗東・松永幹夫厩舎)
おじに京王杯SCなど重賞で2勝を挙げたダイワマッジョーレ(父ダイワメジャー)がいる血統で、2016年セレクトセール当歳にて、8208万円(税込)で落札されている。
本馬について「セリの時から馬っぷりの良さは目立っていましたね」と松永幹夫調教師。7月18日の坂路では併せ馬で先行遅れとまだまだ動けない印象だったが、7月25日のCWでは古馬1000万下に先行してゴール前まで食い下がる動き。最後は半馬身ほど遅れたが、時計は6F87.6秒、1F11.8秒と終いはしっかり伸びている。やるたびに動けるようになっているという印象だけに、最終追い切りでどんな動きを見せてくれるか。
そして、松永幹夫厩舎の夏開催新潟芝1800mといえば、ラッキーライラックがデビュー勝ちを決めているだけに、そういった意味でも注目してみたい。鞍上は田辺裕信騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)