現状でも動ける状態にあるノーブルスコア(撮影:井内利彰)
札幌、新潟、小倉開催が始まって2週が終了。新潟では美浦所属の話題の良血馬が続々とデビューしているが、それらを負かす走りを見せているのが栗東所属馬。
先週までに新潟競馬場で行われたメイクデビュー6レースで、栗東所属馬の勝利は4頭。例年以上にハイペースで勝ち星を挙げているが、今週も新潟競馬場で行われる3レースすべてに栗東所属馬が遠征予定。その走りに注目してみたい。
【8月11日(土) 新潟芝1800m】
◆ヴェイパライズ(牡、父ロージズインメイ、母シーノットラブユー、栗東・中竹和也厩舎)
2017年北海道サマーセールにて、1350万円(税込)で落札されたロージズインメイ産駒。父からはダートのイメージも出てくるが「母系を受け継いでいるのか、柔らかくて芝向きのフットワーク」と中竹和也調教師。そう、おじには夏開催新潟芝1600mの新馬戦を勝ったスマイルジャック(父タニノギムレット)。日本ダービーは2着、重賞3勝の実績は大きな裏付けとなる。
ただ、栗東坂路での追い切りは時計が地味。7月25日が4F54.8秒、8月1日が4F55.3秒なので、数字だけ見ると決してデビュー勝ちというレベルではない。これには「フットワークが大きいので、坂路では時計が出にくい」と同師。となれば、新潟の長くて広い直線でダイナミックな走りを見てみたい。鞍上は北村宏司騎手が予定されている。
【8月12日(日) 新潟芝1600m】
◆ノーブルスコア(牝、父ディープインパクト、母ファイナルスコア、栗東・藤原英昭厩舎)
2016年セレクトセール当歳にて、1億6740万円(税込)で落札されたディープインパクト産駒。母はG1のリディアテシオ賞、G2の伊オークスを優勝している。本馬は6月30日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩している。
1週前追い切りは栗東坂路で行われているが、岡田祥嗣騎手(レースは福永祐一騎手)が跨って、4F55.3秒、1F12.5秒を馬なりでマーク。古馬1000万下に先行して、ゴールでは同入だったが手応えにはかなり余裕があった。中間は栗芝、CWで時計を出しているが、いずれも馬なり。追われてどのくらい動けるかは未知だが、そこまでやらなくても動ける現状と判断したい。
【8月12日(日) 新潟ダート1800m】
◆クリソベリル(牡、父ゴールドアリュール、母クリソプレーズ、栗東・音無秀孝厩舎)
2016年はエピカリス、2017年はルヴァンスレーヴ(美浦・萩原清厩舎)がデビュー勝ちを決めた出世レース。本馬の全兄はダイオライト記念3連覇などダート路線で活躍するクリソライトなので、デビュー戦はもちろん、その将来性も含めて注目を集める一戦となりそう。
ただ「クリソライトとは全くタイプが違う」と音無秀孝調教師。普段から大人しい仕草が気持ちの面でどうなのかと心配していたが、調教ではきっちり水準程度の時計は出している。坂路での追い切りが主流の厩舎だが、今回はCWでの追い切りも併用。8月1日のCWでは6F84.6秒、1F12.1秒だったが、3頭併せの一番外でしっかりと動けている。調教量としても十分なので、初戦から力を出せるだろう。鞍上は戸崎圭太騎手が予定されている。
【8月12日(日) 小倉芝1200m】
◆タムロドリーム(牝、父ジャスタウェイ、母タムロウイング、栗東・西園正都厩舎)
今春のJRAブリーズアップセールにて、1134万円(税込)で落札されているが、今年の2歳が初産駒の新種牡馬ジャスタウェイ。先週のダリア賞を勝ったアウィルアウェイ(栗東・高野友和厩舎)、函館2歳S2着のラブミーファイン(栗東・田所秀孝厩舎)など牝馬の活躍が目立っている。
おじには2017年アンタレスSを勝ったモルトベーネ(父ディープスカイ)がいる血統だが「母は(同厩舎で管理され)ダート1000mで3勝したスピード馬だったし、ジャスタウェイも距離の融通が利きそう」と西園正都調教師。ゲート試験では2F目に11秒台をマークしたように、ダッシュ力を見せる動き。母は3着だった夏開催小倉芝1200mのデビュー戦で勝ち切って見せたいところ。鞍上は幸英明騎手を予定している。
(取材・文:井内利彰)