アルファセントーリ(提供:Racingfotos Ltd)
12日にフランスのドーヴィル競馬場で行われるジャックルマロワ賞(G1・芝直線1600m)。日本馬ジェニアル(牡4、栗東・松永幹夫厩舎)は調教中に放馬し外傷を負ったため回避となってしまったが、国内での馬券発売は行われる。今回はディヴァインライトなどサンデー系種牡馬の導入にも携わった「ブラッドストック」のエージェント、パトリック・バルブ氏にこの1戦の展望、有力馬の寸評を伺った。
■古馬と比べて4.5キロ軽い斤量
3歳牝馬のアルファセントーリとウィズユーがここでは抜けているようにみえる。前者は近走のパフォーマンスも圧巻で、ブックメーカー各社は同馬を断然人気のオッズに設定しているが、JRA発売で果たしてどうなるか。後者は2番人気といったところだが、レコレトスなど他4頭とほぼ横並びの評価となっている。
次点は前走で伏兵人気ながらも強烈な末脚で勝利したアクシデンタルエージェントか。
その他で注目なのは6頭を登録してきたA.ファーブル調教師の管理馬。うち5頭はゴドルフィンの馬でどの馬を出走させるか注目していたが、今年は連対率100%のカスカディアンが出走することになった。昨年はインズオブコートで2着に入っており、古馬戦線のG1はファーブル師が得意とするところである。
【有力馬寸評】
・アルファセントーリ
ここ3走で権威あるG1(愛1000ギニー、コロネーションS、ファルマスS)を連勝している名牝である。古馬と比べて4.5キロ軽い斤量で走れるのはとても有利。母系を見ると、祖母のイーストオブザムーンは1度、曾祖母のミエスクは2度ジャックルマロワ賞を勝っている。
・ウィズユー
サンタラリ賞(G1)ではわずかな差で2着、ディアヌ賞(G1)では不利を受け5着とフランス3歳牝馬路線で勝てなかったが、前走のロートシルト賞の勝利が印象的で、ジャックルマロワ賞と同じ舞台で勝利したことからも強力な牝馬である。また、調教師のF.ヘッド師はゴルディコヴァ(G1を14勝した名牝)でジャックルマロワ賞を制している。
・アクシデンタルエージェント
11人気ながらも勝利したクイーンアンSの走りが印象的な1頭。スタートは後方から折り合いをつけて、直線ラスト2ハロンまで進路がなく厳しい位置にいたが、ラスト1ハロンで末脚を伸ばして叩き合いを制した。
【著者プロフィール】
パトリック・バルブ(Patrick Barbe)
ブラッドストックエージェント。シャンティイ調教場に厩舎を構え、小林智厩舎の立ち上げにも関わる。主な仲介馬に凱旋門賞馬のエリシオやキャロルハウスなど。ディヴァインライトなどサンデー系種牡馬の導入にも携わる。