同厩舎の2歳馬に楽に先着したフラル(撮影:井内利彰)
先週の当欄でお伝えした小倉ダートでのメイクデビュー実施の件。他メディアでも同じ声が挙がっているので、番組新設もひとつの意見であることは間違いない。ただ、新潟ダート1800mという番組があるから、そこを目指してこの時期に入厩しているので、そもそも夏開催にダート中距離の番組がなければよいのではないかという考え方もある。
そう思った理由は新潟ダート1800mを勝ち上がったサルサレイアの次走報。管理する羽月友彦調教師は「思案中です。自己条件(500万下)がいいと思いますが、阪神はダート1400mなんですよね。せっかく1800mを勝ったのに、距離を短くすることがいいとは思えませんし」とのこと。
ダート中距離のメイクデビューを新設するのであれば、それに伴う距離体系の500万下も必要になってくる。しかし、ダートの1700m、1800mで勝ち上がってくる頭数を考えると、それが本当に必要なのか。いろいろと悩ましい番組であることは間違いない。
【8月25日(土) 小倉芝2000m】
◆フラル(牝、父ワークフォース、母アワーグラス、栗東・北出成人厩舎)
祖母がファレノプシス(父ブライアンズタイム)、その半弟がキズナ(父ディープインパクト)ということで、3歳クラシックを意識できる血統。それだけに北出成人調教師も「馬格はあるけど、現時点では440キロくらいの馬体重。これからまだまだ成長していくと思うし、血統的にもクラシックディスタンスで結果を求めていきたい」と今後を展望している。
8月8日の坂路では、4F55.5秒、1F13.1秒と時計も動きも地味だったが、8月15日のCWでは坂路では手応えで見劣っていたルナミノル相手に楽に先着した。時計も5Fで66.6秒、終いも11.9秒と伸びている。8月17日にはゲートからの追い切りを行っていて、出走態勢はきっちり整った。鞍上は鮫島克駿騎手が予定されている。
◆レターオンザサンド(牡、父ゴールドヘイロー、母スモーキークォーツ、栗東・藤岡健一厩舎)
ゴールドヘイローの代表産駒には札幌記念など重賞で4勝を挙げたトウケイヘイローがいるものの、本馬の母系にはあまり活躍馬がいない。その点を藤岡健一調教師に聞いてみると「セリでの馬っぷりが良かった」とサマーセールにおいて、648万円で落札した経緯を教えてくれた。
ただ入厩当初は追い切りでもあまり目立った動きを見せていなかった。それが8月16日の坂路での追い切り。3歳未勝利とはいえ、良血で追い切りも動くアルマーズとの併せ馬で先行先着。
最後まで余裕ある手応えで4F53.2秒をマークした。これだけ動けば、デビュー前の追い切りとしては十分だろう。鞍上は藤岡佑介騎手が予定されている。
【8月25日(土) 新潟芝1600m】
◆レッドアネモス(牝、ヴィクトワールピサ、母マチカネハヤテ、栗東・友道康夫厩舎)
母系には2007年ヴィクトリアMを優勝したコイウタ(父フジキセキ)がいる血統で、母は現役時代に芝1200mで5勝を挙げた快速馬。
入厩当初はゲート試験に合格すれば放牧というプランもあったようだが、順調ということもあって、デビューまで在厩での調整を続けている。CWでの追い切りが中心になっているが、この馬が走りそうだなあと思ったのが、8月8日の追い切り。
ポポカテペトル、アドマイヤユラナスとの3頭併せだったが、ラスト1Fは最も速く11.7秒。6F85.6秒と全体時計は遅めだが、手応えにも余裕があり、この時点で動ける態勢は整っている。鞍上は森泰斗騎手が予定されている。
【8月26日(日) 小倉芝1200m(牝)】
◆ルナミノル(牝、パドトロワ、母プリンセスナナミ、栗東・北出成人厩舎)
現2歳世代が初年度産駒となるパドトロワ。新馬勝ちをしたジゴロ、函館2歳Sで4着だったエムティアンなど実績だけでなく、JRAで競走した馬はまだ掲示板を外していないという堅実ぶりも見せている。
本馬は追い切りではさほど目立った時計を出していないが、そのあたりはすでにデビューして堅実な結果を残している産駒と同じ。それでも8月17日のゲートからの追い切りでは「かなりいいダッシュを見せてくれました」と北出成人調教師。
ゲートを出てからが速いというのは父の現役時代に共通するところ。これなら実戦でかなり楽しみではないだろうか。鞍上は浜中俊騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)