15年のマーメイドSを制したシャトーブランシュ(15年6月撮影、ユーザー提供:kasshiyさん)
牝馬限定の重賞とあって、マーメイドSの出走馬からは多くの名繁殖牝馬が出ている。近年の代表格はイクイノックスの母となったシャトーブランシュ。格上挑戦で生涯唯一の重賞タイトルを獲得した10年前の一戦を振り返る。
シャトーブランシュは父キングヘイロー、母ブランシェリー、母の父トニービンの血統。伯父のブランディスは04年の中山大障害と中山グランドジャンプの覇者だった。3歳時にはローズSでデニムアンドルビーから半馬身差の2着に健闘。しかし、4歳夏に自己条件に戻ると1000万下こそ勝ち上がったが、1600万下では勝ち切れないレースが続いた。迎えた5歳夏、連敗は6に伸びていたが、陣営はマーメイドSへの格上挑戦を決める。この判断が結果的に大正解。8番人気で挑んだ一戦、道中は後方だったが、直線で外から鋭く伸びる。次々に先行馬をかわし、坂を上がって先頭へ。後にエリザベス女王杯を制するマリアライトに3/4馬身差をつけて、初の重賞タイトルを獲得したのだった。
このレースで燃え尽きたのか、シャトーブランシュはその後の3戦で2桁着順に沈み、同年末には引退した。しかしながら母になると、現役時代を凌ぐ活躍を見せる。2番仔のヴァイスメテオールが21年のラジオNIKKEI賞を制覇。そして3番仔のイクイノックスは22年と23年の天皇賞(秋)を連覇するなど、GI・6連勝を果たして「史上最強馬」と呼ばれるほどの大活躍を見せたのだ。まだ15歳のシャトーブランシュ。更なる大物の登場を心待ちにしたい。