「ステルヴィオを相手に怯まずに動けたのは立派」と木村調教師が語ったヴァイスカイザー(撮影:竹之内元)
先週の新馬戦は、当ニュースに取り上げたルガールカルムが単勝1.2倍と断然の支持に応え快勝。この先のクラシック戦線に向けて次走が楽しみな存在となりそうだ。
今週も美浦から多くの有力馬がデビューを予定しており、中でも注目の5頭を紹介する。
◆ヴァイスカイザー(牡、父ディープインパクト、母ナイトマジック、美浦・木村哲也厩舎)
母は独オークス、バーデン大賞のG1・2勝を含め、ドイツの重賞を5勝した。同じくディープインパクト産駒の兄姉はフォイヤーヴェルク(現3勝)、アルミレーナ(現2勝)、ノチェブランカ(現1勝)と3頭とも勝ち上がっている。ゲート試験に合格後はノーザンファーム天栄で乗り込み、8月下旬に再入厩。先週の追い切りでは格上のステルヴィオに胸を借り、追走して併入と素質の高さを示した。「けっこう力みながら走るところがあるけど、負荷をかけてもヘコまず、ステルヴィオを相手に怯まずに動けたのは立派。気のいいタイプだし、うまく気持ちの面をコントロールできれば楽しみ。オーナーサイドの期待馬でもあるし、しっかりと成果を上げたいですね」と木村哲也調教師。9月30日、中山の芝1800mをC・ルメール騎手で予定している。
◆エアジーン(牝、父ハービンジャー、母ラスティングソング、美浦・堀宣行厩舎)
異父姉にクィーンズベスト(現4勝)、全兄にインヴィクタ(現2勝)がおり、叔父にフレールジャック(ラジオNIKKEI賞)、マーティンボロ(中日新聞杯、新潟記念)、いとこにヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル=2回)、シュヴァルグラン(ジャパンC)、ヴィブロス(秋華賞、ドバイターフ)と近親には活躍馬が並ぶ。先週の追い切りではJ・モレイラ騎手を背に3歳馬を追走して併入。それほど目立った時計は出していないが、順調に態勢を整えてきている印象だ。9月30日、中山の芝1800mをJ・モレイラ騎手で予定している。
◆エクリリストワール(牡、父オルフェーヴル、母ビリーヴミー、美浦・田中博康厩舎)
2017年のセレクトセールに上場され、取引価格は3240万円。母は仏2勝、G1・サンタラリ賞2着の戦歴がある。じっくりと乗り込み、先週の追い切りは古馬との3頭併せで負荷をかけた。「6月の東京や夏の函館も考えていたけど、ちょっと疲れが出たので秋の中山デビューに目標を切り替えました。フットワークが大きくて力強いし、心臓も強い。いかにも長めの距離が良さそうです」と田中博康調教師。9月30日、中山の芝1800mを戸崎圭太騎手で予定している。
◆パルスレート(牝、父ジャスタウェイ、母スルーレート、美浦・久保田貴士厩舎)
フレンチデピュティ産駒の母はフラワーC2着、クイーン賞3着の戦歴。異父兄に札幌2歳S3着のハイアーレート、いとこにブルミラコロ(サマーチャンピオン2着)やハクサンルドルフ(エプソムC2着)がいる。ゲート試験に合格後はノーザンファーム天栄で乗り込み、9月に入ってから再入厩。先週はポリトラックコースで追い切られ、古馬を追走して先着した。「いい雰囲気だし、デビュー前としては十分に動けています。テンションが高くなるところはあるけど、走り出せばコントロールが利くし、ためれば切れる脚も使えそう。芝のマイルぐらいが良さそうです」と池内調教助手。9月29日、中山の芝1600m(牝馬)を大野拓弥騎手で予定している。
◆フィルムフェスト(牝、父スクリーンヒーロー、母ユールフェスト、美浦・尾関知人厩舎)
母は函館の芝1200mで2勝。この馬が初仔になる。こちらもゲート試験に合格後はノーザンファーム天栄で成長を促し、9月に入ってから再入厩。先週の追い切りにはC・ルメール騎手が跨がり、3歳馬を追走して併入した。「初仔で馬格があるほうではないし、脚もとのことも考慮しながら慎重に進めてきた。再入厩後は順調だし、ひと追い毎に良くなっている。いいスピードがありそうだし、軽い芝向きのタイプだと思います」と尾関知人調教師。9月30日、中山の芝1200mをC・ルメール騎手で予定している。
(取材・文:竹之内元)