大物感たっぷりの走りを見せるカントル(撮影:井内利彰)
秋のメイクデビュー京都。昨年の4回開催はエポカドーロ(栗東・藤原英昭厩舎)が3日目の芝1800m(3着)、カツジ(栗東・池添兼雄厩舎)が6日目の芝1600mでデビューし、3歳でG1ホース、重賞ホースになっている。
今年の4回開催も毎週注目馬が出走を予定しているが、今週は「日本ダービー」を意識させてくれるような素質馬が出走を予定。来年も活躍馬が出る開催と記すことができるような結果を期待したい。
【10月13日(土) 京都芝1600m】
◆スパンキーワールド(牡、父ケープブランコ、母スプンキーウーマン、栗東・友道康夫厩舎)
父は2015年シーズンから日本で供用されたので、今年が国内産初年度産駒。先週の未勝利戦で産駒が初勝利を挙げたが、本馬の母系はオレハマッテルゼ、フラアンジェリコといったG1勝ち、重賞勝ちが出ている血統。加えて、2歳の勝ち上がり率が驚異的(9頭デビューして7頭勝ち上がり)な厩舎の勢いがある。
もともとは阪神開催でのデビュー予定もあったが、いろいろあって予定をスライド。9月の時点できっちりと動けていたが、一旦調教を緩めての再始動となった。先週の追い切りを見ると、あらためて動く馬だという感じ。CWでスーパーフェザーを追いかける内容だったが、最後はこちらが先着してゴール。6F83.5秒は少し遅い時計だが、追われながらも余裕のある走りで、全体時計がもっと速くなっても動けそう。鞍上は藤岡康太騎手が予定されている。
【10月14日(日) 京都ダート1800m】
◆ラズライトノヴァ(牡、父オルフェーヴル、母アナスタシアブルー、栗東・藤原英昭厩舎)
祖母ライラプス(父フレンチデピュティ)は3歳時にクイーンCを勝ち、5歳ではマリーンC3着というダート実績も残している。そして、朝日杯FSを勝ったフサイチリシャール(父クロフネ)がいる血統でもある。
本馬は夏の新潟ダート1800mで出馬投票するも除外で一旦放牧。個人的な印象としては、当時よりも今回の方が動きが素軽くなった印象があるだけに、結果的に除外が正解だったような気もする。10月3日はレースでも騎乗予定のC.ルメール騎手が跨って、コーカスを追走して同入。古馬相手にきっちり動けているだけに、ここは初戦から結果を出したい。
【10月14日(日) 京都芝2000m】
◆カントル(牡、父ディープインパクト、母ミスアンコール、栗東・藤原英昭厩舎)
全兄ワグネリアンは今年の日本ダービーを優勝。秋も神戸新聞杯を勝って、古馬相手のG1に向けて好発進を決めている。兄よりもデビュー時期は遅くなったが、秋の京都で王道のデビューだから、ここまで順調といってよい。
やっぱり走るんだろうなと思わせてくれたのが、10月3日のCW。レースでも騎乗予定のM.デムーロ騎手が跨っていたが、併せた相手はステファノス。ラスト1F標識地点ではさすがに手応えが見劣っていたが、ジョッキーがしっかり追うとゴール前ではステファノスが慌てるようなシーン。本気になったら走りますよと言わんばかりの走りは大物感たっぷり。時計は6F81.7秒と速かったし、まずは兄と同じ新馬勝ちを目指す。
【10月14日(日) 東京芝1800m】
◆モズカクシダマ(牡、父Temple City、母Overseen、栗東・藤岡健一厩舎)
父の産駒にはハリウッドダービーを勝ったAnnals of Timeがおり、父の父はDynaformer。ダートがイメージできる父系だが、母系からは京都芝2000mで新馬勝ちしたレッドコルディス(父ハーツクライ)がいる。
本馬は8月23日にゲート試験に合格し、その後も在厩のまま、デビューへ向けて調整。坂路での追い切りが中心になっているが、その動きは追い切るごとに鋭さを増しており、4F時計も週を追うごとに詰まってきている。10月3日の坂路では新馬を追走して、最後は4馬身突き放す動き。4F53.3秒、1F12.4秒は少し時計を要する馬場状態だったことを考慮すれば、十分すぎるくらいに動けている。鞍上は福永祐一騎手を予定している。
(取材・文:井内利彰)