速いスタートを切った数頭のうち、アルアインとロジクライが並走して先頭に。それを外からライアン・ムーアのアエロリットがかわし、単独でハナに立った。
アルアインの直後にウィリアム・ビュイックが騎乗する1番のステルヴィオ、その後ろにミルコ・デムーロが乗る2番のペルシアンナイトがつけた。
クリストフ・ルメールが乗る1番人気のモズアスコットは後方馬群のなか。前半4ハロンは47秒1。けっして速くはないのだが、追っつけ気味の手応えだ。4コーナーで外から押し上げようとしたとき、内のレーヌミノルと外のロードクエストに挟まれるような形でルメールが大きく手綱を引いてバランスを崩した。すぐに立て直して追い出したが、本来の伸びを欠いて13着。ルメールがコメントしたように、残念ながら、今日は4コーナーで終わってしまった。
アエロリットが先頭のまま直線へ。それをアルアインがかわしにかかり、さらに外からエアスピネルも伸びてくる。その後ろでは、ステルヴィオとペルシアンナイトが内の同じスペースを狙っている。ペルシアンナイトのM.デムーロは、ここで少し手綱を引いて待つロスがあった。
ラスト200mを切ったところで、アルアインの内にスペースができた。そこにステルヴィオとペルシアンナイトが突っ込み、先に入ったステルヴィオが抜け出し、内から追い詰めてきたペルシアンナイトを頭差で封じ、GI初制覇を遂げた。ステルヴィオのビュイックは、アルアインの内と外のどちらを突くか迷いながら追っていたはずだが、内と決めてからの反応の速さは、さすがこれが今年7カ国でGI9勝目という腕前だった。古馬より1キロ軽い56キロも生かされたか。
ペルシアンナイトから1馬身1/4差の3着がアルアイン。1、2、3番の枠順どおりの着順となった。結果として、内枠の馬たちは、出たなりで、コースロスなく立ち回ることができた。
アルアインの川田将雅は、脚があれば勝てる競馬をした。1、2着馬とはマイル適性の差が出てしまったか。
4着はカツジ、5着はミッキーグローリーと、1984年のグレード制導入以降、GIに初めて全きょうだいとして出走した2頭が掲示板に載る健闘を見せた。
(文:島田明宏)