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【ジャパンC 勝負の分かれ目】ルメール騎手が「ぼくはパッセンジャー(乗客)だった」と笑ったアーモンドアイの驚異的な強さ

2018年11月25日 20:45

ジャパンカップを制したアーモンドアイとルメール騎手(撮影:下野雄規)

 アーモンドアイは、前走・秋華賞の本馬場入場のさい体の向きを変えるなど、うるさいところを見せていた。そのため、今日のジャパンカップではパドックを最初に出て、馬道でクリストフ・ルメールを背にし、先に馬場入りした。

「前回は出るとき馬に躊躇があったので、トラブルにならないよう、もともと1番枠でしたが、前もって出しました」と国枝栄調教師。

 その1番枠に関しては、ルメールも懸念していた。

「もしスローになって囲まれたら、後方から大外一気の競馬になるかもしれないので、心配しながらスタートしました」

 ゲート内で四肢をバタつかせるシーンがありヒヤリとさせたが、アーモンドアイは、ジャンプするようにまずまずのスタートを切った。そのままハナに立ちそうな勢いだったが、8番枠のキセキが先頭に立ち、さらに外からノーブルマーズも前に行った。

 アーモンドアイは、内の3、4番手で1コーナーを回った。

「1コーナーまでがポイントだと思っていました。一番心配していたのは折り合いだったのですが、すぐにいいポジションで折り合い、コントロールが利いていたので安心しました」と国枝師。

 ルメールは「1コーナーのあと、リラックスして、いつものリズムになった。向正面に入って、このポジションを、この馬で進めることが楽しかった。そこでレースは終わったようなもの。ぼくはただのパッセンジャー(乗客)でした」と振り返る。

 先頭は川田将雅のキセキ。2馬身ほど離れた内の3番手にアーモンドアイはつけていた。

 前半1000m通過は59秒9。国枝師は、このあたりで勝利を確信したという。

「(時計が出やすい)この馬場状態で、流れはけっして速くない。これでだいたいイケるかな、と思いました」

 単騎逃げに持ち込んだキセキが3馬身ほどのリードを保ったまま3、4コーナーを回った。

 川田はこう振り返る。

「とにかく自分の競馬をしようと組み立てました。普通なら当たり前に押し切れる展開でした。が、ほかにも素晴らしい馬がいた。(キセキは)目一杯頑張ってくれました」

 アーモンドアイは楽な手応えでキセキとの差を詰め、直線へ。ラスト400mでもルメールの手は動かない。ラスト300mで初めて追い出し、右ステッキを入れた。ラスト200mで並んだと思ったらもうかわし、1馬身3/4差をつけてフィニッシュ。2分20秒6という驚異的なレコードに場内がどよめいた。

 外国人プレスから、「こうして2番手からものすごいタイムを出すなんて、どんな馬なんだ?」と質問されると、ルメールはこう答えた。

「モンスター。マシーン。サッチ・ア・ストロング・アニマル。いつも日本のプレスに言っているように、ほぼ完璧な馬です。どこからでもレースができるし、すべての強さを持ち合わせている」

 日本馬で初の凱旋門賞優勝馬になるのでは、との問いには国枝師が答えた。

「勝てると思います。エネイブルと一緒にレースをしてみたいですね」

 史上2頭目の3歳牝馬のジャパンカップ優勝馬となったアーモンドアイ。普段は愛らしい美少女が、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。

(文:島田明宏)

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