復調プリンシアコメータが完封/エンプレス杯回顧(斎藤修)

2019年02月28日 18:00

後続を突き放す強い競馬をしたプリンシアコメータ(撮影:高橋正和)

 プリンシアコメータの馬体重マイナス18kg、488kgは好調時に戻してのもの。緩みのないペースでレースを引っ張った(引っ張ることができた)ときのプリンシアコメータは強い。

 プリンシアコメータは、ここ2戦が好位に控えての競馬だったため、個人的にはクレイジーアクセルが逃げ、サルサディオーネが2番手でレースが落ち着くと見ての予想だったが、この2頭より内枠に入ったプリンシアコメータが「逃げる作戦だった」(岩田騎手)ことでそうはならなかった。ハロンごとのラップタイムは以下。

 6.4-11.2-11.8-14.2-12.8-13.3-13.8-11.8-12.8-13.9-13.3

 クレイジーアクセルはハナに行くしかないため、プリンシアコメータは逃げ作戦でも引かざるをえず、その先行争いで最初に11秒台のラップが2つというのは、クレイジーアクセルには酷なレース序盤となった。川崎2100mではグレードレースでもスタンド前から1、2コーナーでペースが緩んで14秒台のラップが続くこともめずらしくないが、14秒台のラップは隊列が決まった1周目3、4コーナーのあたりの一度だけ。直線を向いてクレイジーアクセルが単独先頭だったが、スローに落とさせないようプリンシアコメータが競りかけて行き、さらにやや力むような感じで追走したサルサディオーネにも厳しい流れになった。

 川崎2100mらしいゆったりした理想のペースでレースを進めたのが、前3頭からは離れた4番手のミッシングリンクとビスカリアで、定石通り、向正面半ばから動いていった。一方でプリンシアコメータは、クレイジーアクセルとサルサディオーネが案外早くに脱落してくれたおかげで、3コーナーあたりで息を入れることができた。4コーナーではビスカリアに並びかけられたものの、直線で突き放すだけの余力が残っていた。

 それにしても今回、メンバー中唯一、別定56kg(ほかの馬は55kgか54kg)を背負って後続を突き放したプリンシアコメータは強い競馬をした。地方初参戦だった2017年のJBCレディスクラシック(大井)以降での二桁着順は、中央が舞台だった平安Sと昨年のJBCレディスクラシック(京都)、それに馬体重大幅増で体調的に問題があったと思われる前走のクイーン賞の3レースだけ。プリンシアコメータは地方の馬場でこそ力を発揮するタイプで、今後も地方の牝馬路線中心のローテーションとなるようだ。

 そしてこれがラストランと伝えられていたブランシェクールも好走を見せた。4番手の2頭からさらに離れた6番手あたりを追走、仕掛けを我慢して直線の脚にかけた吉原騎手の好騎乗だった。それにしても南関東4場の中でもコーナーがきつく難しいとされる川崎コースで、岩田騎手、吉原騎手は、ときに大胆なレース運びでの活躍が目立つ。

 24日の阪神競馬場で引退セレモニーが行われたキンショーユキヒメ(9着)の中村均調教師だが、エンプレス杯の45分前に発走した名古屋の条件交流をタガノバレッティで勝ち、それが現役最後の勝利となった。

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