【勝負の分かれ目 NHKマイルカップ】前日の雹で傷んだ馬場が外枠有利に働いた。運も味方につけたデムーロ騎手が令和最初のGI制覇

2019年05月05日 20:00

先頭でゴールを駆け抜けたアドマイヤマーズ(撮影:下野雄規)

 雹(ひょう)が降って第10レース以降が中止となった昨日とは打って変わって晴天のもと、令和最初のGIである第24回NHKマイルカップのゲートが開いた。

 イベリス、クリノガウディー、プールヴィルが競り合う流れはやや速くなり、前半800mは45秒8。後半800mは46秒6という前傾ラップになった。

 クリストフ・ルメールが騎乗する1番人気の桜花賞馬グランアレグリアは好位の内目につけた。ミルコ・デムーロが乗る2番人気のアドマイヤマーズは17番という外枠だったこともあり、中団の外にポジションを取った。

 アドマイヤマーズを管理する友道康夫調教師はこう言う。

「頭のなかでは、すっと3、4番手につける競馬を描いていたので、ジョッキーがゲートから押しているのを見て『あれ?』と思いました。それでも、最終的には4コーナーでいい位置につけていたので、これでなんとかなるな、と」

 デムーロも冷静だった。

「枠順の17番はキツいと思っていました。でも、馬はこれまで1回も(スタートを)失敗していない。遅くてもすぐいいところにつけられる。結構前に行きたい馬がいっぱいいたので、どんなペースになるかと思っていた。ポジションは、これぐらいだと思っていました。でも、ポジションに関係なく、馬の気持ちだけを考えていました」

 イベリスが先頭のまま直線へ。

 アドマイヤマーズは、そこから5馬身以上後ろの外からスパートする。

 アドマイヤマーズからダノンチェイサーを挟んで内にいたグランアレグリアが、ラスト400m地点で外に持ち出した。そのとき、ダノンを外に押し出し、走行を妨害する形になった。

 ラスト200m。クリノガウディー、トオヤリトセイトらが先頭争いを繰り広げる。カテドラルが馬群の間から抜け出し、それらの外からアドマイヤマーズがまとめてかわしにかかる。さらに外から18番のケイデンスコールが猛然と追い上げてくる。

「直線はずっと伸びていた。他馬が来たら、もう1回耳を絞ってまた伸びた。負けない気持ちが素晴らしい」とデムーロ。

 アドマイヤマーズが先頭でゴールを駆け抜けた。半馬身差の2着にケイデンスコール。ハナ差の3着がカテドラル。

 グランアレグリアは4位で入線したが、5位入線のダノンチェイサーの走行を妨害したとして、5着に降着となった。

 結果として、前日の雹で、荒れた部分が残った芝が明暗を分けた。普通の雨ならこうはならなかっただろうが、いわゆる外差しの馬場となった。内で立ち回ろうとした馬たちが苦しむのを尻目に、8枠から出た1、2着馬は、馬場のいい外目を伸び伸びと走り、好結果を出した。

(文:島田明宏)

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