他の新馬とはレベルの違う動きを見せたアルジャンナ(撮影:井内利彰)
新潟に比べると、距離の選択数が少ない小倉だが、芝1800mの番組は来春のクラシック路線に乗ってくる馬の出走も少なくない。少し古い話になるが、2006年日本ダービーを勝ったメイショウサムソンは夏の小倉芝1800mデビューだった。
昨年の2回4日目の小倉芝1800mを勝ったのはヴェロックス。重賞勝ちこそないものの、皐月賞2着、ダービー3着と春の牡馬クラシックを大いに賑わした。今年もこの番組からスター候補が出てもおかしくない、そんなメンバー構成になりそうだ。
【8月3日(土) 札幌芝1200m】
◆ヒルノマリブ(牝、父ゴールドアリュール、母パレガルニエ、栗東・北出成人厩舎)
本馬は芝1勝、ダート2勝のイイデステップ(父ファンタスティックライト)や芝2勝、ダート1勝のイイデフューチャー(父アドマイヤジャパン)の半妹にあたるが、この2頭を含めて、北出成人厩舎に預託されることが多い血統。
全姉イイデメモリーもそうだが「タイプが全く違う」とのこと。また、父はゴールドアリュールだが「調教の動きから芝向きのスピードがありますね。ただ、距離に関しては1200mだけではなく、1800mデビューも検討しています」ということで、8月4日(日)札幌芝1800mのデビューも視野に入っている。
7月24日の函館Wではレースで手綱を握る予定の勝浦正樹騎手が跨って、2勝クラスに先着。いずれの距離に出走しても楽しみな存在であることは間違いない。
【8月4日(日) 小倉芝1800m】
◆アルジャンナ(牡、父ディープインパクト、母コンドコマンド、栗東・池江泰寿厩舎)
2017年セレクトセール当歳にて、1億7000万円という高額で取引されたディープインパクト産駒。母は現役時代にアメリカで活躍し、2歳G1を制した名牝。本馬はその初仔となる。
7月18日のCWですでに5F65秒台をマークしていたこともあり、注目した7月25日のCW追い切り。レースでも騎乗予定の川田将雅騎手が跨り、関屋記念の出走を予定しているソーグリッタリングと併走し、小倉記念の出走を予定しているアイスバブルが追いかけてくるという3頭併せだった。
相手が相手だけに遅れて当然という感じで見ていたが、最後の直線での走りは3頭の中で最も目立つくらい活気があった。ゴールでは最先着だったし、とにかく他の新馬とはレベルの違う動き。これを実戦でも発揮するようなら、あっさり結果を出すのではないだろうか。
◆サンデーミラージュ(牡、父ディープインパクト、母ミセスリンゼイ、栗東・宮本博厩舎)
今年の千葉サラブレットセールにて、6900万円で落札されたディープインパクト産駒。馬主は「株式会社ラウンドワン」の代表取締役である杉野公彦氏で、先週も所有馬のサンデーパームス(父キズナ)が小倉芝1200mでデビューして4着だった。
本馬は坂路での追い切りが中心になっていて、先々週までは4F53秒台が一杯という感じだったが、先週24日にレースで騎乗予定の武豊騎手が跨って、4F52.6秒と動いた。
これには宮本博調教師もホッとした様子で「追うごとに良くなっていますね」と笑顔。使いながらという雰囲気もあるようだが、まずは初戦でどんな走りを見せてくれるか注目したい。
【8月4日(日) 新潟芝1600m】
◆ドゥーベ(牡、父ダイワメジャー、母トゥーピー、栗東・音無秀孝厩舎)
半兄に2015年京都新聞杯を勝ち、日本ダービーは2着だったサトノラーゼン(父ディープインパクト)がいるが、音無秀孝調教師に2歳春時点で馬の印象を聞いた時には「スピードがありそうだし、距離はマイル前後かも」という話だった。
実際、入厩してからもその印象が強い。父がダイワメジャーということもあってか、パワーが必要な坂路でしっかり動けている。7月24日の坂路では2勝クラスのダノンスパークと併せて手応えでは見劣ったが、時計は4F51.1秒。
その分だけ、終いは13.2秒と最後が時計を要する形になったが、終い重点だと11秒台をマークすることもできるだけに、現状でも十分に勝ち負けレベルにあるといってよい。なお、鞍上は石橋脩騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)