3歳馬らしく菊花賞時より更なる成長をみせるヴェロックス(撮影:井内利彰)
毎週、馬場造園課の方に調教各コースの状態をお聞きしているが、Cコースに関しては、ゴール前から1コーナーにかけてかなり掘れている部分があったとのこと。それを改善した今週ということだったが、時計の出方を見るかぎりは先週よりも速いような気はする。
これに関しては雨が降っていないことも要因になっている。先週も記したが、この時期はひと雨降ってしまうだけで、その影響が残りやすい季節。今週末は雨の予報も出ていたが、現在のところ、6日が雨マーク。これが来週にどんな影響となるかだろう。
【坂路/4F51.9秒】
12月4日。一番時計はスズカプリズム(栗東・橋田満厩舎)の4F50.5秒。一番時計の数字自体は先週の水曜日よりも遅いが、4F50秒台、4F51秒台の頭数はそれぞれ先週よりも多い。特に4F51秒台の頭数はかなり増えており、基準時計よりも速い馬場という見方でよいだろう。
よって、4F目に11秒台をマークした頭数も9頭。終いだけでなく、2F目に12秒前半と速いラップを踏んだら、そのままの惰性でゴールまで駆け抜けていくパターンも少なくない。速い時計が出ることは調子のバロメーターとして重視すべきだとは思うが、ラップの踏み方を考慮した上で全体時計を判断したいのが、今週の馬場だろう。
5日。一番時計は4F50.3秒のダノンアレー(栗東・安田隆行厩舎)。1F目から13.2秒と速めのラップで入っているが、その後が12.8秒、12.2秒、12.1秒とゴールへ向かって加速し続けている。走りやすい馬場であることはもちろんだが、このラップなら馬自身に対して高い評価をすべきだろう。
先週の馬場差は「+0.1秒」。今週は明らかに時計が出やすい馬場。よって、今週の馬場差は4日、5日とも『-0.4秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
12月4日。冒頭にも記したように、時計の出方としては先週よりも速い印象。上位が抜けて速いわけではなく、全体的に先週よりも速い時計になっているという感覚があるので、ここは馬場差に関係してくるところだと思う。
特に2歳新馬でいい動きを見せた馬が多く、それがヴァーダイト(栗東・音無秀孝厩舎)とメラーキ(栗東・友道康夫厩舎)。どちらも来週の阪神芝2000mでデビュー予定だが、どちらも3頭併せで、前者が6F80.0秒、後者が6F80.7秒と速い時計。少し低調なメンバーレベルだった芝中距離の新馬戦だが、このレースに関しては楽しみ。
12月5日。馬場状態としては前日と変わらない。この日、1回目のハローが終了した時間帯に有馬記念(12月22日・中山芝2500m)に向けた2週前追い切りを行ったのがヴェロックス(栗東・中内田充正厩舎)。
単走だったが、リズム良く走れていたし、4コーナーから最後の直線へ向く時のスピード感もなかなか。菊花賞の疲れも心配されるところだが、この動きを見るかぎり、むしろ3歳馬らしい成長度の方が大きいようにも思える安定した走りだった。
先週の馬場差は「±0.0秒」。基準時計とほぼ同じ馬場だった先週に比べると、やはり今週の方が全体的に速い時計が出ている。よって、今週の馬場差は『-0.5秒』で4日、5日とも記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
今週の芝馬場も追い切り頭数が少ない。追い切り頭数が少ないこともあり、馬場の状態は安定している感じ。よって、今週の馬場差は27日、28日とも『±0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場での追い切り頭数は、一時期よりも減っているが、30頭弱といったところで安定はしている。時計の出方も速すぎず、遅すぎずといったところで安定している印象を受ける。馬場差としては、先週と同じ『±0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)