追い切りで素晴らしい動きを見せているサトノシャローム(撮影:井内利彰)
当欄の冒頭で「阪神開催は除外がない」と記したら、先週は芝1800mで3頭、芝1400mで11頭の除外が出てしまった。芝1800m組は次週の阪神芝2000mを筆頭に、いろんな選択ができるが、芝1400m組で除外された調教師は頭を悩ませている。
まず、今週は阪神でも中山でも芝1600m以下の番組がない。また年明け初週の開催でも同様の番組はない。2週目まで待つ、もしくは小倉芝1200mまで待つなど、3週間以上間隔があいてしまう、非常に厳しい状況。冬場に芝の番組を増やすことは難しいのかも知れないが、来年末の番組には改善策が必要かも知れない。
【12月28日(土) 阪神ダート1400m】
◆ファルサルス(牡、父Giant's Causeway、母Damsah、栗東・安田隆行厩舎)
母系に中京芝1200mで未勝利を勝ち上がったサヴァイヴ(父キンシャサノキセキ)がいる血統で、日本で活躍した父産駒には芝で5勝を挙げたアンコイルドやダートで7勝(交流競走含む)を挙げているドリームキラリなど、いろんなタイプがいる。
本馬は坂路で追うたびに時計を詰めてきており、12月19日は4F51.8秒をマーク。2歳未勝利を1秒以上追走したが、それをきっちり捕まえての先着。
相手が馬なりだったこともあるが、それでも前を捕まえる脚力はなかなかのもの。調教量も十分なので、初戦からきっちり力を発揮するだろう。
【12月28日(土) 阪神芝2000m】
◆サトノシャローム(牡、父ロードカナロア、母シャムロッカー、栗東・池江泰寿厩舎)
芝2600mで2勝を挙げている半兄サトノグロワール(父ディープインパクト)も同じ池江泰寿厩舎で管理され、セレクトセールで1億7000万円と高額で取引されている。本馬は2017年セレクトセール当歳にて、1億8000万円で落札されている。
12月12日、19日と2週続けて、川田将雅騎手が跨ってCW追い切りを行っているが、この動きが素晴らしい。特に19日はダイナミックなフットワークで先行していたトゥザクラウンをあっさりと追い抜いて先着。
時計は6F82.5〜5F67.1〜4F52.8〜3F38.4〜1F11.8秒とゴールへ向かって加速するラップを踏んでいる。追い切りを見た感想として、まだこんなに動く馬がデビューしていなかったんだという印象。レースでどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみで仕方ない。
◆リヒトブリック(牡、父ディープインパクト、母パイタ、栗東・藤岡健一厩舎)
きょうだいには東京芝2400mで未勝利を勝ち上がったルレイヴ(父ステイゴールド)などがいるが、JRAで2勝以上を挙げた馬はおらず、現役時代にフランスで活躍した母の戦績を思うとなんだか物足りない。
しかし、本馬のスピード感はきょうだいの中でも出世しそうなタイプ。12月11日の坂路では4F52.2秒をマークして併せ馬を先着。
ここでいい動きを見せたが、12月18日はDPで先週デビューしたロードフェローズを追走して馬なりで追いつく脚力を見せた。坂路でもトラックでも動けたあたり、初戦から楽しみ。鞍上は藤岡佑介騎手が予定されている。
【12月28日(土) 中山ダート1200m】
◆トウカイエトワール(牡、父ヘニーヒューズ、母トウカイミステリー、栗東・安田隆行厩舎)
母は現役時代に安田隆行厩舎で管理され、北九州記念を制したスプリンターだが、本馬は父がヘニーヒューズということもあり「ダート適性が高そう」と安田隆行調教師。ちなみに先週の中山ダート1200mに出馬投票して、除外になっているがこれはある程度想定されていた。
12月11日の坂路では4F51.4秒をマークして、18日の坂路ではゴール前が最速になるラップを踏めており、スピードコントロールも自在。
11日には遅れていた併せ馬も18日は先着しており、走り自体に余裕が出てきたのかも知れない。1週のスライドは決して悪くなかったように思える。鞍上はO.マーフィー騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)