血統レベルA級のサンクテュエール(撮影:下野雄規)
戦後初のクラシック三冠馬となったシンザンの名を冠したからではないだろうが、過去の優勝馬にはタニノギムレットやジェンティルドンナ、アーモンドアイ、ミッキーアイルがいて、2011年2着馬オルフェーヴルはのちに三冠馬となった出世レースだ。
クラシック本番へ向けて、どの馬も賞金を積み上げたいところでなるべくならば強敵を避けたいというのは当然の心理。登録段階からフルゲート18頭に対して12頭にとどまったのは。ライバル陣営から顔をあわせたくないという馬がいたからに他ならない。
◎サンクテュエールは米国でターフクラシック、ウッドワードSに勝ったヨシダの半妹。母ヒルダズパッションは、ブリーダーズCの前哨戦的位置づけとされる米G1バレリーナS含み重賞5勝。血統レベルはA級だ。全兄ジークカイザーも2歳12月の新馬、3歳1月の特別を連勝し、半兄シェドゥーヴルも2歳新馬戦の優勝馬、高い能力とともに仕上がりの早さも伝えている。本馬もデビュー戦を楽勝し、出世レースと名高いアルテミスSの2着馬。結果的にはリアアメリアの決め手に屈した格好だが、目標にされるようなレースでもあった。改めて期待したい。
○ルーツドールは、菊花賞馬で、天皇賞・春に勝っているフィエールマンの半妹。父がディープインパクトからジャスタウェイに替わって兄をしのぐ雄大な馬格の持ち主となった。東京競馬場でのデビュー戦は2番手追走からあっさりと抜け出して後続に5馬身差。1分33秒3の時計も、当日の古馬2勝クラス、3勝クラスの勝ち時計と比較しても優秀だった。実戦を1度使われたことで素軽さも出るだろうが、血統的には晩成型かもしれない。
一角崩しの期待は1戦1勝▲カバジェーロ。ダブルアンコールとのマッチレースを制したデビュー戦は最後2ハロン11秒7→11秒4。馬格に恵まれたロードカナロア産駒で、母ラべはエルフィンS2着馬。祖母も小倉3歳S3着で、一族には芙蓉S優勝馬ジャストドゥイングもいて、仕上がりの早いファミリーだ。
10頭立てと少頭数ながらもなかなかの好メンバーだ。デビュー2戦目でディープインパクト産駒らしい瞬発力を披露した△オーマイダーリンは、母がドイツ生まれの仏重賞勝ち馬。ディープインパクト×モンズーンの組み合わせにはアルテミスSに勝ったシェーングランツもいる。朝日杯で見せ場を作った△タガノビューティーは、NHKマイルカップ2着タガノブルグの半弟。同じく朝日杯で掲示板を確保した△プリンスリターンも抑えておきたい。