スプリンターズSに向けて、重要な
ステップとなるキーンランドC。このレースで重要視すべきは、夏競馬の実績です。同年の夏に限らず、2年前、3年前の夏実績でも良く、ずっとそのように考えていました。
実際に、重賞に昇格した2006年以降の勝ち馬14頭のうち13頭は、(該当年キーンランドC以前に)6月か7月に勝ち鞍を持っていました。これに該当しなかった勝ち馬は、
2018年に1番人気で勝った
ナックビーナスだけなのです。
そこで、6月か7月に勝ち鞍のある馬と勝ち鞍のない馬に分け、それぞれの成績を比較してみると、前者は156戦[13-12-10-121]で勝率8%、複勝率22%、単回収171%、複回収71%だったのに対し、後者は60戦[1-2-4-53]で勝率2%、複勝率13%、単回収6%、複回収37%と大きな開きが見られました(函館競馬場開催の2013年も含む)。
6月か7月に勝ち鞍のある馬をベタ買いした場合、171%の単勝回収率を記録しているとはいえ、その大部分は2008年に単勝161.4倍でこのレースを制した
タニノマティーニの功績。同馬を除くと、一気に68%にまで下落してしまいます。
そこでもうひとつ、勝利を挙げた場所に「北海道限定」という要件を加え、細分化してみると、6月か7月に函館もしくは札幌に勝ち鞍のある馬は102戦[11-8-8-75]で勝率11%、複勝率26%、単回収245%、複回収78%だった一方で、6月か7月に函館もしくは札幌に勝ち鞍のない馬は54戦[2-4-2-46]で勝率4%、複勝率15%、単回収35%、複回収56%という結果になりました(函館競馬場開催の2013年も含む)。
これはつまり、洋芝適性。そういうことなのでしょう。北海道以外のJRA競馬場には主に“野芝”という品種が使われているのですが、函館競馬場と札幌競馬場は寒さに強い“洋芝”という品種が使われています。洋芝は保水性が高く、競馬においてはタイムが野芝より遅くなりやすいという特徴があるといわれています。
正直な話、今まで洋芝適性というものはあまり気にしていなかったのですが、こういったデータを発見してしまうと、ちょっと考えさせられる部分はありますね。
とはいえ、例年なら出走馬の半数近くが6月か7月に函館もしくは札幌に勝ち鞍のある馬で、いつもの年ならここが予想のスタート地点となるのですが、今年は特別登録のある21頭のうち、
アスタールビー、
ダイアトニック、
ルヴォルグと
レッドアルマーダの4頭しか存在しません。
かたや、6月か7月に勝ち鞍のない馬が半数を超えそうなあたり、これはかなり楽しみな一戦になってきたと考えています。
ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んでキーンランドCを解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
(文=岡村信将)