明日9月29日に行われる、金沢競馬場で唯一のダートグレード競走・白山大賞典(JpnIII・2100m)。97年にダートグレードへ昇格して以降、勝ち馬はすべてJRA所属馬で地方馬は2着が最高着順。例年は重賞未勝利のオープン、準オープンの出走も多かったが、今年もJRAから5頭参戦し、熱戦が期待される。
これまでの馬券傾向は、とにかくリピーターが多いのが特徴。連覇した馬を含めて、馬券圏内となる3着までに入った馬は10頭以上。前年3着以下でも、翌年に出走した場合は連対率が高かったため、今年も楽しみにしていたが、丸っきりメンバーが変わった。
唯一、出走歴があるのは地元のティモシーブルーのみ。前年5着でこれまでの傾向に当てはまるが、今年のメンバーでは少々厳しいと思える。それなら、前哨戦のイヌワシ賞を圧勝したリンノレジェンドのほうが可能性はありそうだ。マーキュリーCで大きく差を付けられた相手はいるが、その当時とは状態が違う。短期間での長距離輸送だけが心配だが、何とか一矢報いて欲しいと願っている。
今年のメンバーで、有力候補はエルデュクラージュ。8月の時点で参戦を表明しており、仕上げに抜かりはないはず。近2走はマスターフェンサーを完封しており、その内容も秀逸。先行できるうえ、上がりも速く、先行馬有利の金沢でこの競馬をされたら太刀打ちできる馬はいないと思える。
続いての注目馬はロードゴラッソ。好位追走から安定したレース運びが持ち味で、佐賀記念こそナムラカメタローを捕えきれずに2着も、次走の名古屋大賞典ではキッチリ差し切った。今年からは、その名古屋競馬場と同じ砂を金沢でも使用しており、クッション性が高く、深い馬場で結果を出したのだから金沢の馬場も合うはず。
砂質を思えば、マスターフェンサーは面白いかもしれない。サウスポーのイメージが強いが阪神、京都で勝利。右回りがダメなわけではない。また、アメリカ遠征で特異な馬場を経験しており、深い馬場を苦にするとは思えない。
ロードレガリスはJRA再転入後、4連勝。その潜在能力は認めるが、時折ある出遅れる点はどうか。ただ、メンバーと展開を考えればペースは必然的に速くなり、後方からでも届きそうな予感。平安Sこそ凡走だったが、最も不気味な存在ではある。
繰り上がりで出走が叶ったヒストリーメイカーは、2年前に金沢に在籍して15戦10勝。馬場適性に関しては何も不安はない。ただ、マーキュリーCのような競馬になる可能性もあり、立ち回りと仕掛けるタイミング次第だろう。先行馬有利の馬場とはいえ、良馬場と道悪では大きく傾向も変わってくるので、当日の状況も確認して馬券の検討を楽しみたい。
(文=中村勇好)