【凱旋門賞予想】史上初の凱旋門賞3勝目なるか? 女王エネイブルの前に立ちはだかるライバルたちを仏在住美人記者がジャッジ!/海外レース展望

2020年10月03日 19:20

昨年は3連覇を逃したエネイブルだが、今年は史上初の3勝目の偉業をかけて凱旋門賞に挑む(写真は18年セプテンバーS時、提供:Racingfotos Ltd)

 凱旋門賞が誕生したのは、今からちょうど100年前の1920年10月のこと。つまり、今年は記念すべき100周年目ということになる。コロナウイルスは主要なイベントを開催中止に追い込んだが、英国の偉大な牝馬エネイブルによる歴史的な3度目の凱旋門賞制覇を止めることはできないだろう。

 昨年はぬかるんだ馬場、レース展開によって絶好調だったヴァルトガイストに3連覇を阻まれたが、今年はより良い馬場、展開を望んでおり、これまでのキャリア、能力を考えれば新興勢力相手に負けることはないだろう。

 エネイブルは昔に比べコンディション調整に時間がかかるようになったと、管理するゴスデン調教師は公にしてきた。奇しくも、シーズン緒戦のエプリクスS2着でそれが証明されてしまった形だが、3週間後には本調子に戻り、キングジョージ6世 & クイーンエリザベスSで3連覇を達成している。

 エネイブルのシーズン緒戦は、2年前に凱旋門賞を勝ったときと同じケンプトンパークでの全天候型レース(セプテンバーS)だったが、冷静沈着かつ次走に期待の持てるものだった。休み明けで落ち着いてはいたが、これまで同様、気合い十分で、レースではミスすることなく、その走りはレースというよりギャロップのようだった。まだメンタル的にも能力的に通用するのは疑いないが、6歳馬で凱旋門賞を勝利した馬はいない。(1932年に7歳馬モトリコが勝利したのみ)

 キーファーズの松島氏が共同所有している、昨年の凱旋門賞4着馬ジャパンは、今シーズンは苦戦を強いられており、英国でのレース再開後は4走して、いずれも表彰台を逃している。キングジョージ6世&クイーンエリザベスSではエネイブルに16馬身半差もつけられ、先日の愛チャンピオンSでも勝ったマジカルから大きく離れた5着に終わった。今回は日本の武豊騎手が騎乗予定だが、ジャパンが武騎手の夢を叶えられるかどうかは疑わしいところだ。

 今年の英ダービーを制したサーペンタインは、まだサプライズを起こせる可能性がある。前走のGIパリ大賞では4着と残念な結果になったが、果敢に動いて大逃げを打って出た英ダービーと違い、消極的な走りをしていたし、そもそも英ダービーで見せたような息を呑むような素晴らしいフットワークが見られなかった。ペースが落ち着く2400mを楽に走れるのは明らかなので、アッと驚く走りをする一頭かもしれない。

 パリ大賞で、独ダービー馬インスウープを2馬身半差で破ったモーグルもサーペンタインと同じオブライエン厩舎。レース後、調教師は「まだこの馬の底が見えていない」と発言し、昨年の凱旋門賞で優勝したP.C.ブドー騎手の巧みな騎乗にも注目したい。

 ストラディバリウスは、1969年のレヴモス以来となるアスコットゴールドC優勝馬による凱旋門賞制覇を目論んでいる。凱旋門賞を勝つのにスタミナが必要なことはいうまでもないが、同時にスピードが重要なのも事実。ゴスデン師が管理する同馬はその両方を兼ね備えており、3週前にパリロンシャンで行われたフォワ賞では、より短い距離でも対応できることを証明している。

 レースは逃げ切ったアンソニーヴァンダイクのペースでスプリント戦のような流れになり、ストラディバリウスには向かず、良い前哨戦にはならなかったものの、ハードなレース経験の少ない同馬にとっては貴重な経験を積むことができた。凱旋門賞は平均ペースで流れることが多く、ストラディバリウスには向くはず。エネイブルがいるため、デットーリ騎手は手綱を執ることはできないが、すでにエネイブルのライバルとして認めていると話している。

 実際、今年の凱旋門賞はイギリス、アイルランド馬の独壇場となるかもしれない。ジャン・クロード・ルジェ師が手掛ける昨年の凱旋門賞3着馬ソットサスと、3歳牝馬のラービアーは今のところ、師の期待に応えるような成績を残していない。

 ソットサスはガネー賞を勝ったにもかかわらず、本来の姿を取り戻すのに時間がかかっているようだ。マジカルの4着に敗れた愛チャンピオンSの結果も、より柔らかい馬場、2000mを超える距離を好む同馬を考えれば見た目ほど悪い結果ではないが、凱旋門賞を勝つには力が足りないかもしれない。

 橋田満師が管理するディアドラも昨年の走りを取り戻すのに苦労はしているものの、称賛されるべきだろう。ナッソーSで大敗して以来となる休養明けでの出走で、昨年グローリーヴェイズの4着に終わった香港ヴァーズの走りも悪くなかったが、やはり6歳牝馬には荷が重いといわざるを得ない。
(取材・文=リズ・プライス)

ただいま、ウマい馬券では凱旋門賞の予想特集ページを公開中! 欧州の競馬事情に精通したリズ・プライス記者や、“世界の合田”こと合田直弘氏など海外競馬のスペシャリストが披露する予想をみてみよう!

新着ニュース

ニュースを探す

ご意見・ご要望

本サービスはより高機能なサービスの提供なども検討しております。お気づきの点がございましたらお気軽に下記フォームよりご意見をお願いいたします。

  • ご意見をご記入ください。

頂いたご意見には必ずスタッフが目を通します。個々のご意見に回答できかねますことを予めご了承ください。
また、連続して複数送信されると、受付できないことがあります。予めご了承ください。