圧倒的1番人気に支持された川田将雅のクリソベリルは、8枠15番という外枠から速いスタートを切った。が、そこから1ハロンほど内のヨシオと並走する形になり、すぐにはイン側に入れることができないまま1コーナーに差しかかった。
クリソベリルは1コーナー入口で内に切れ込み、距離ロスを減らした。しかし、目の前には馬がおらず、2馬身ほど先を行くインティの姿を見通せる格好になった。前に壁を置けなかったせいか、川田の指示に反して引っ掛かってしまった。
向正面に入ると落ちついたが、ここまでのロスが響いたのか、最後はいつものような末脚を使うことができず、4着に終わった。
このレースがチャンピオンズカップという名称になり、中京開催となった2014年以降、8枠を引いた馬の最高着順は2015年ロワジャルダン(8枠16番)の4着。「砂の絶対王者」もそれを超えることはできなかった。行き脚のついたところに1コーナーがあるため、どうしても外枠は不利になる。
対照的に、スムーズなレースで力を出し切ったのが、戸崎圭太が騎乗したチュウワウィザードだった。
「目標にしていたクリソベリルが前にいたのでマークして、手応えを見ながら進めました」
戸崎がそう振り返ったように、向正面ではクリソベリルから離されないよう手綱を押して促し、2馬身ほど後ろにつけた。
3番手のクリソベリルが持ったままの手応えで4コーナーを回ったのに対し、4番手のチュウワウィザードの戸崎の手はずっと動いたままだった。
「追ってしぶとい馬なので、外から仕掛けて行きました。馬の力で勝たせてもらいました」と戸崎。
ラスト400m地点ではまだ並びかけることはできずにいたが、じわじわと脚を伸ばし、ラスト200m手前でクリソベリルを競り落とした。そして、逃げ込みをはかるインティを並ぶ間もなくかわし、先頭でフィニッシュ。嬉しいJRA・GI初勝利を挙げた。交流GIを含めると、これがGI3勝目。
チュウワウィザードも11番という外目の枠からのスタートだった。このレースがチャンピオンズカップとなってから、ふた桁馬番の馬が勝ったのは初めてのこと。力があるからこそ手にすることができた、徹底マークの末の栄冠であった。
(文:島田明宏)